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フードジャーナリスト 三輪大輔

MIWA JOURNAL
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スマホオーダーはなぜ賛否を巻き起こすのか
スマホオーダー導入をめぐる問題が生じる根本的な理由は、飲食店側のメリットが優先されすぎている点にある。飲食店がスマホオーダーの導入を進める理由は、大きく分けると人手不足の解消か、人件費高騰への対応の二つに行き着く。もちろん、これらは店舗運営にとって極めて重要である。しかし、こうした経営上のメリットが過度に優先されると、顧客体験価値(CX)が置き去りになるのも事実だ。
多くのベンダーは、スマホオーダーによってスタッフをオーダーテイクの煩雑さから解放し、本来の業務に集中できると説明する。その結果、先回りした声掛けができたり、これまでできなかったメニューのお薦めができたりして、結果として、顧客体験価値が上がるという論理だ。そもそも「オーダーテイクが素晴らしかったから、あのお店にもう一度行こう」とはならない。それよりも「スタッフに勧められた料理が印象的だったからまた来たい」と思いや、「気の利いたサービスがよかったら、取引先も連れていこう」という判断が働く。そのため、ベンダー側の説明も、あながち的外れではない。

三輪大輔
10月28日読了時間: 3分
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