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【飲食経営者の肖像】プロントコーポレーション杉山和弘社長

  • 執筆者の写真: 三輪大輔
    三輪大輔
  • 5 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:20 時間前

飲食店経営12月号で、今月号の表紙の株式会社プロントコーポレーション代表取締役社長、杉山和弘氏にインタビューをしました。


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プロントコーポレーションは、昼はカフェ、夜はサカバとして営業する「プロント」や、和カフェブームで存在感を高めている「和カフェ Tsumugi(ツムギ)」などの展開で知られています。今回、杉山さんの取材を通して、プロントコーポレーションは、あらためてすごい会社だと感じました。


プロントコーポレーションのすごさ!

杉山さんの取材で、特に印象に残っているのが「まだまだですが」という謙遜した姿です。実は、本誌の12月号で、DX関連の特集をすることは前々から決まっていました。そこで表紙も、DXに対する深い見識をお持ちの社長にお願いをしようと思い、杉山さんにご依頼をさせていただいた背景があります。


実際、同社のDXの取り組みは非常に多くの学びがありました。特に印象に残っているのが、2018年に、当時まだ創業したばかりのTechMagic株式会社と、自動調理ロボットの共同開発を始めたことです。いまでこそ、自動調理ロボットは当たり前のように使われるようになりましたが、その頃はまだまだ手探り状態で、リンガーハットなどの一部企業が先行して取り組んでいた程度でした(関連記事:中華鍋と包丁が消えたリンガーハットの舞台裏/ダイヤモンド・オンライン)。


そのときから、自社に合うベストな提案を、新進気鋭の企業と共同で開発していたということに、時代の目を見る確かさを感じました。そんな革新的な取り組みをされているのにもかかわらず、杉山さんの姿勢はあくまでも謙虚です。その姿勢の裏には、本質を捉えているからこそ生まれる危機感があるのだと思います。


DXの本質とは何か?

コロナ禍以降、DXという言葉が一般的になりました。しかし、言葉だけが独り歩きをしてしまった結果、テクノロジーを導入することがDXだと勘違いしてしまっている人も少なくありません。


とはいえ、DXの明確な定義付けは定まってはいません。経済産業省が公表した「経産省の「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」が一つの指針になっており、そこには下記のように記されています。


企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること


ここでポイントになるのが「データとデジタル技術を活用」するという点です。DXという言葉だけが独り歩きし、いつの間にか デジタル技術を導入することがDXだと誤解される風潮が広がっています。しかし、本来のDXは、デジタル技術だけでは成立しません。データがあってこそ、DXを前に進めることができます。もっと具体的にいうと、モバイルオーダーを導入しているからDXを推進しているわけではなく、そのデータを活用し、経営を革新して初めて、DXを推進しているといえるのです。


杉山さんの「まだまだ」という言葉は、本質を理解している人だけが口にできるものだと感じました。本質を理解し、真っ直ぐに見据えているからこそ、自社の立ち位置と理想までの距離の差分を正確に計れているといってもいいかもしれません。


プロントコーポレーションの快進撃はこれから

その本質を見つめる眼差しは、DXの推進だけに向けられているわけではありません。現在、同社は人材の採用や育成にも力を入れています。さらに、オフィスのリニューアルや社内体制の見直しなど、複数の改革を同時に進め、企業理念も刷新しました。


新しい理念は「パーパス」と「アクション」に分けて定義されていますが、それを策定したのが現場メンバーを中心に編成したプロジェクトチームです。その「パーパス」には、次のような想いが込められています。


飲食やサービスを通して、「ありがとう」の気持ちをつなぐことで、社会に潤いと喜びを増やす。


この新しい理念に強く共感する従業員も多く、社内ではポジティブな反応が広がっています。結局のところ、経営の本質は「人の力を引き出すこと」です。どれほどテクノロジーが進化しても、経営の中心にあるのは人であり、組織を動かすのも人です。その意味で、本質と向き合う社長が率いる会社は強い。そう感じる取材でした。


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