11月1日に発売された「週刊大衆(2021年11月15日号)」にコメントが掲載されました。「そうだ!居酒屋に行こう。全国5大チェーン実食リサーチ」という特集に合わせて、ここ十数年の居酒屋チェーンの移り変わりをお話ししています。
そもそも居酒屋文化は1970年代以降に生まれた「養老乃瀧」「つぼ八」「村さ来」から成る「居酒屋御三家」の発展に合わせて 出来上がりました。
1990年代半ば以降になると、ワタミ、モンテローザ、コロワイドの「居酒屋新御三家」が隆盛を極めます。各社の代表的なブランドの「和民」や「笑笑」「甘太郎」は、いわゆる「総合居酒屋」と呼ばれ、駅前の一等地に大型店舗を構え、サラダや刺身、焼き鳥、揚物、つまみ、ご飯ものなど、幅広いメニューを提供しながら多様な客のニーズに応えていました。しかし、総合居酒屋は損益分岐点が高いビジネスモデルです。駅前の一等地なので家賃が高いのはもちろん、大型店舗なのでスタッフをたくさん抱える必要があったり、さらにメニューが多いので仕入れ数も膨大だったりします。そうした弱点がデフレ経済下で痛手となり、だんだんとその姿を見かけなくなりました。
2010年代に入るとマーケットは大きく変化します。特に大きな変化が2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災です。リーマンショック後、デフレの深刻化に合わせるように「金の蔵Jr.」などの単一価格で勝負する激安居酒屋が台頭するものの、東日本大震災後、原発事故を経緯に食への関心が一気に高まり、飲食店の専門店化が進みます。そこで存在感を高めたのが「鳥貴族」や「串カツ田中」「ダンダダン」といった専門チェーンです。2014年7月10日に株式会社鳥貴族が東証ジャスダックに、2016年9月14日に串カツ田中が東証マザーズに、そしてダンダダンを展開する株式会社NATTY SWANKYも2019年3月28日に東証マザーズに上場するなど、一躍時代の寵児となりました。
しかし、コロナ禍になって、またマーケットは変化しています。GOSSO株式会社が展開する「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」など、卓上にサワーサーバーを設置したり、テクノロジーを活用したりしている新たなタイプの居酒屋が登場しており、勢力図が大きく塗り替わる可能性もあります。
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