top of page

ロイヤルホスト 〜息子と僕と、この頃、はま寿司〜

  • 執筆者の写真: 三輪大輔
    三輪大輔
  • 11月25日
  • 読了時間: 2分

更新日:4 日前

それは、僕の人生最初の記憶と関係が深い。

 

人生で初めての記憶は4歳の誕生日で、場所は本厚木駅の近くにあった「ロイヤルホスト」だ。ふかふかの絨毯、コック帽を被ったコックさん、そしてテーブルに届けられるおいしそうな料理。そうした光景を今でもけっこう鮮明に覚えている。そのときの、温かい家族の姿も。

 

ree

当時、住んでいたのは神奈川県厚木市の片田舎だ。田んぼと山と川に囲まれた自然豊かな場所で、辺りにはファストフードなどない。そんな僕にとって、ファミレスは非日常だった。だからかもしれない。4歳の誕生日のロイヤルホストでの時間は、かなり鮮烈な記憶として覚えている。今の仕事を考えると、ちょっと運命的といえるかもしれない。

 

飲食店は、ただの食事の場ではない。空気の温度や漂う匂い、一緒にいた人の表情、そしてその瞬間の気持ちまでもが、その場に溶け込む。やがてそれらが混ざり合い、特別な場所として胸に刻まれていく。その後、両親が離婚し、家族の形は変わり、もう全員が揃うこともない。だから余計に、あのロイヤルホストの記憶が自分にとって特別なんだろうと思う。あの時、あの場所だけは曇りがなくて、ただ幸せだったのだ。

 

今は、「はま寿司」によく行く。ポイント制度があれば、一度くらい無料で食べられるくらい通っている。「はま寿司にしようか?」。4歳の息子からの無邪気な提案で行くことを決めるのがほとんどだ。非日常ではなく、日常の延長線上にある時間だけど、息子はいつもえらく楽しそうにしている。


 ふかふかの絨毯はないし、コック帽を被ったコックさんもいない。ましてや寿司はシャリロボットが握り、だいぶ時代は変わった。それに息子はファストフードが当たり前の環境で育っている。川こそあるが、田んぼや山はない。マンションと商業施設と、わずかばかりの公園で、僕とは過ごした環境も、時代もまるで違う。


それでも、息子にとっては、この“はま寿司”が特別な思い出の場所になるのだろう。家族で楽しく過ごした場所として、温かな記憶として心に刻まれるはずだ。もしかしたら、人生最初の記憶になるかもしれない。 ロイヤルホストがそうだったように。

コメント


  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn
bottom of page