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外食ビジネスアナリスト 三輪大輔
MIWA JOURNAL
「MIWA JOURNAL」は、外食産業・飲食業界の最新動向を、企業戦略・業界構造・現場視点から読み解く専門メディアです。日々のニュースを単に追うのではなく、「なぜそれが起きているのか」を継続的に解説しています。「外食ニュース解説」をはじめ、「飲食経営者の肖像」「飲食DXの伴走者」などの連載を通じて、外食産業の現在地と変化の本質を伝えています。更新は火曜・木曜。
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ドトールの業績はなぜ好調? 値上げ後も選ばれる理由と、決算に見る成長の秘密
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 手頃な価格でコーヒーを飲めるドトール。その業績が好調だ。 ドトール・日レスホールディングスの2027年2月期中間決算(2026年3〜8月)は、売上高が前年同期比7.5%増の857億3600万円、営業利益が38.1%増の73億8400万円となった。ドトールコーヒーグループに限っても、売上高は10.5%増、セグメント利益は48.9%増と、大幅な増収増益だった。コーヒー豆などの原材料費に加え、人件費や物流費も上昇している。ドトール自身も値上げを実施したが、それでも業績を伸ばしている。 なぜ、値上げしても選ばれるのか。そして、会社全体では何が成長を支えているのか。店舗での利用だけでは見えてこない、ドトール・日レスの強さを読み解きたい。 値上げしても残る、相対的な割安感 ドトールは、価格を据え置き続けているわけではない。ブレンドコーヒーのSサイズは、2022年12月に250円となり、2024年12月には280円、2026年7月には300円へと上がった。最近では、およそ1年半から2年の間隔で価格を改定している。それでも、現在

三輪大輔
10月26日読了時間: 6分


韓国のメガドリンクカフェはなぜ日本で増える?「安くて大きい」をおしゃれに変えた大容量ドリンクの強さ
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 日本のカフェで、コーヒーを気軽に買うことが以前より難しくなっている。コーヒー豆や人件費などの高騰を受け、低価格を強みにしてきたチェーンでも値上げが続く。コンビニコーヒーも、かつての「1杯100円」ではなくなった。 一方、都市部では、休憩しようにも席が見つからない「カフェ難民」が話題になる。価格が上がっても、座れるとは限らない。毎日のようにコーヒーを飲む人にとって、価格と使い勝手の両面で、店選びが悩ましくなっている。 そんな日本に、韓国発の低価格・大容量カフェが相次いで進出している。大きなカップに入ったコーヒーやラテを、手頃な価格で提供する。いわば「メガドリンク」を売りにする業態だ。ただ、その強さは量と安さだけではない。日本のカフェ市場で進む変化を見ると、韓国勢が入り込む余地が見えてくる。 韓国のメガドリンクカフェが相次いで日本へ 2026年8月には「Paik's Coffee」が東京・新橋に日本1号店を開業した。すでに「マンモスコーヒー」が東京・虎ノ門へ進出しているほか、「fave COFFEE」も大阪や神戸に出

三輪大輔
10月23日読了時間: 6分


サイゼリヤが10月29日から値上げ。ミラノ風ドリア320円、増収増益でも価格を見直す理由
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト サイゼリヤは2026年10月29日から、メニュー全般で平均6%の値上げを実施する。看板商品のミラノ風ドリアは税込300円から320円になる。レジャー施設周辺・都市部の一部24店舗では平均10%の値上げとなる一方、フレッシュワインやランチ、モーニング限定メニューは価格を据え置く。 サイゼリヤの朝食メニュー。今回の価格改定でも、モーニング限定メニューは価格を据え置く。 今回の改定内容は次の通りだ。 対象 2026年10月29日からの改定内容 メニュー全般 平均6%値上げ ミラノ風ドリア 税込300円 → 320円 税込400円のメニュー 税込420~430円などに変更 レジャー施設周辺・都市部の一部24店舗 平均10%値上げ フレッシュワイン 価格据え置き ランチ 価格据え置き モーニング限定メニュー 価格据え置き 同社が10月14日に発表した2026年8月期決算は、売上高が前期比17.4%増の3014億8300万円、営業利益が同5.9%増の164億1900万円だった。売上高は3000億円を突破し、営業利益も増えた。

三輪大輔
10月15日読了時間: 8分


焼肉きんぐで1078万人分の会員情報流出。DXを進める外食企業に突きつけられた「顧客データを守る責任」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 焼肉きんぐの情報流出だけではない。相次ぐ不正アクセス 焼肉きんぐの公式アプリで、1078万8963件の会員情報流出が明らかになりました。 焼肉きんぐ公式アプリ。予約やクーポンなど、デジタルを活用した顧客サービスが広がっている(筆者撮影) 物語コーポレーションによると、10月2日に公式アプリの会員管理システムへの第三者による不正アクセスを確認。翌3日に会員情報の漏えいが判明しました。現時点では、漏えいした情報が不特定多数に公開された事実や、不正利用された事実は確認されていません。 ただし、今回の問題を焼肉きんぐだけの問題として見るべきではないでしょう。最近ではタイムズカーやセイコーマート、大和証券など、業種を問わず不正アクセスや情報流出の公表が相次いでいます。10月9日にはIPA(情報処理推進機構)も、国内の金融機関や通信事業者など幅広い事業者で情報漏えい事案の公表が相次いでいるとして注意喚起を行いました。特に、大量の個人情報を扱うオンラインサービスやアカウントサービスへの不正侵入が相次いでいるとしています。...

三輪大輔
10月9日読了時間: 7分


日高屋が3年連続で中間期の過去最高益。「ちょい飲み」が広げる成長の可能性
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 中華料理チェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高の業績が好調だ。2026年10月2日に発表した2027年2月期中間決算では、売上高が前年同期比10.8%増の340億6300万円、営業利益が11.0%増の40億6700万円となった。売上高、営業利益ともに、中間期として3年連続で過去最高を更新している。 「ちょい飲み」を大きく掲げる日高屋。食事から仕事帰りの一杯まで、幅広い利用に対応する。 食材費も人件費も上昇する中、なぜ日高屋は利益を伸ばせるのか。決算から見えるのは、来店客数を伸ばしてコスト増を吸収する強さと、食事から「ちょい飲み」まで、日常の幅広い需要に応える使い勝手のよさである。 客数を伸ばし、コスト増を吸収する日高屋 今回の決算で注目したいのは、増収増益の中身だ。原価率は前年同期の30.3%から31.2%へ上昇した。7月まで米価格が高水準だったことに加え、豚肉、小麦粉、長ネギなどの値上がりが影響している。正社員のベースアップやパート・アルバイトの増員、時給アップによって、人件費も増えた。それでも、売上高に対す

三輪大輔
10月6日読了時間: 5分


「背徳グルメ」が2026年に再ブーム。「背徳鍋」に見る人気の理由と2019年との違い
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 2026年の外食シーンでは、「背徳」をテーマにした商品やフェアが相次ぎました。肉やチーズ、にんにく、背脂などを豪快に使い、「今日は思い切って食べたい」という気分を刺激する商品が目立っています。 そして今回、ぐるなびが発表した「トレンド鍋2026」にも「背徳鍋」が選ばれました。健康志向が定着し、物価高によって節約意識も高まる中、なぜ今、あえてカロリーや罪悪感を気にせず楽しむ「背徳」が支持されているのでしょうか。 実は「背徳」が注目されるのは、今回が初めてではありません。2019年から2020年にかけても、「悪魔メシ」「悪魔的」といった言葉が広がり、高カロリーで罪深い料理が大きな話題になりました。2026年は、いわば“第二次背徳ブーム”といえそうです。 2026年に広がった「背徳」 今年は外食やコンビニなどで、「背徳」を前面に押し出した商品が相次ぎました。 例えば、しゃぶ葉では「しゃぶ葉背徳研究所」を立ち上げ、「背徳 至高のグルメフェア」を期間限定で開催。濃厚な豚スープやにんにく、太麺などを組み合わせ、背徳ラーメンや

三輪大輔
10月1日読了時間: 5分


セブン、ローソン、ファミマのコンビニ3社がおにぎり値下げ コメ価格下落は外食の値付けをどう変える?
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ローソンは9月29日から、全国の店舗で「手巻おにぎり」全品を一律10円値下げする。セブン‐イレブンでは9月8日から「手巻おにぎり 炭火焼銀しゃけ」「手巻おにぎり 具たっぷり辛子明太子」の2商品を値下げ。ファミリーマートも9月22日から「直巻おむすび」4種類を11円値下げした。 ファミリーマートは9月22日から『直巻おむすび』4種類を11円値下げ。背景には米の市場価格の低下がある ファミリーマートは、その背景として「米の市場価格の低下」を挙げている。実際、スーパーの店頭でもコメ価格は下がり始めている。農林水産省によると、2026年7月のコメの小売価格は5kgあたり平均3370円で、前月から219円下がった。 では、コメが安くなり、コンビニ各社もおにぎりを値下げするなか、なぜ価格は以前の水準まで戻らないのだろうか。そこには、「コメ価格が下がった」という事実だけでは見えてこない、おにぎりのコスト構造がある。さらに今回の値下げを追っていくと、もう一つ興味深い動きが見えてくる。コンビニの「客数」をめぐる競争である。 コメは

三輪大輔
9月26日読了時間: 7分


なぜスシローは成功し、他社は撤退したのか? ミスド再挑戦から考える外食企業の中国進出「成功と失敗の分かれ目」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 日本の外食企業の中国進出の明暗が分かれています。 スシローは2021年に中国本土へ進出し、2026年4月には100店舗へ到達しました。一方、丸亀製麺、はなまるうどん、くら寿司など、中国から撤退した企業も少なくありません。同じ日本食への需要を前に、なぜ伸びる企業と撤退する企業に分かれるのでしょうか。鍵を握るのは、ブランドの知名度だけではありません。 そもそも中国の外食市場は2025年、5兆7,982億元、日本円に換算すると約130兆円に達しました。飲食店数は約1,600万店ともいわれています。日本の外食市場は約25兆円であり、中国はその約5倍です。店舗網を築くことができれば、大きな成長を期待できる魅力的な市場です。 そのため、一度撤退した企業が再び中国へ進出する動きもあります。ミスタードーナツは2019年の撤退から7年を経て、上海へ戻ります。では、中国で成功と撤退を分けるものは何でしょうか。重要になるのが、中国の出店競争と価格競争に耐えられる供給網、店舗運営、現地パートナーを含めた経営体制です。 時代とともに変わる

三輪大輔
9月24日読了時間: 6分


スターバックスはなぜ好調な日本事業を売却するのか。中国型モデルから読む次の一手
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 9月16日、ロイターはスターバックスが日本事業の過半数株式の売却を検討していると報じた。日本事業の企業価値は約30億ドルとされ、正式な売却プロセスが2026年第4四半期にも始まる可能性があるという。日本には1883店舗があり、スターバックスにとって最大の海外市場である。しかも日本事業は不振ではなく、むしろ好調な市場の一つだ。 日本事業の過半数株式の売却が検討されているスターバックス。日本は同社にとって最大の海外市場であり、今後どのような資本構成・運営体制へ移行するのかが注目される。 では、なぜスターバックスは好調な日本事業を売ろうとしているのか。その答えを考える上で、改めて注目したいのが中国である。スターバックスは中国ですでに、従来とは異なる事業運営へ踏み出している。もし日本でも同じ方向へ進むのであれば、今回の売却検討は単なる事業の切り離しではない。 スターバックスという企業そのものが、世界でどのような経営モデルへ移行しようとしているのか。今回は、中国で何が起きているのかを整理しながら、日本事業が今後どのように変

三輪大輔
9月23日読了時間: 7分


ファミマの「250円朝食」で「第4次モーニングブーム」は次の段階へ。外食とコンビニの朝食戦争
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 2026年9月15日、ファミリーマートが「朝ファミマのコンビ割」をスタートした。午前5時から11時までの時間帯に、おむすびまたはパンと、対象の飲料をセットで購入すると250円になる。対象となるのは、おむすび5種類、パン8種類、飲料9種類。全国約1万6100店舗で実施され、組み合わせは117通りに及ぶ。 ファミリーマート「朝ファミマのコンビ割」。午前5時から11時まで、おむすびまたはパンと対象飲料の組み合わせを250円で販売する(画像:ファミリーマートリリース) おむすび1個とコーヒーを買って250円。物価高が続き、外食でもコンビニでも値上げが相次ぐ現在では、かなりインパクトのある価格だ。ただ、この施策を外食産業の最近の動きと重ねてみると、単なるコンビニの値引きキャンペーンとは違って見える。今、外食チェーンでも「朝」を巡る競争が激しくなっているからだ。 サイゼリヤは「朝サイゼ」を展開し、300円台から利用できる低価格のモーニングを投入。ケンタッキーフライドチキンも「KFC a.m.」を打ち出すなど、朝の時間帯を強化

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9月22日読了時間: 8分


サンマルクHDはなぜ「つるとんたん」に128億円を払えるのか? 今、100億円M&Aを連発する理由
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト サンマルクホールディングス(HD)が、大きく変わり始めている。 2026年9月17日、サンマルクHDは、カトープレジャーグループ(KPG)傘下のケー・エキスプレスから「つるとんたん」などの事業を128億円で承継すると発表した。対象となるのは、「つるとんたん」など国内直営14店舗、海外FC2店舗に加え、製麺やギフト商品の販売事業。2026年3月期の売上高は61億3500万円だった。サンマルクHDは、チェーンオペレーションや物件情報網を活用した国内主要都市への出店、物流網による調達コストの低減、ASEANを含む海外展開を進めるとしている。 興味深いのは、128億円という金額だけではない。サンマルクHDは2024年、「京都勝牛」などを展開するジーホールディングスを112億円で、「牛かつもと村」を展開するB級グルメ研究所ホールディングスなどを105億円で相次いで取得した。今回の「つるとんたん」を加えると、約2年間で3件、総額345億円規模の大型M&Aを実行することになる。 かつて「サンマルクカフェ」「鎌倉パスタ」など、自

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9月20日読了時間: 7分


なぜココイチまで「深夜料金」を導入するのか?24時間営業の採算と「夜の外食」の変容
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)」が、2026年9月1日から深夜料金を導入した。午後10時から翌朝5時までの注文に対して、店内飲食だけでなく、テイクアウトにも7%を加算する。 深夜料金といえば、これまではファミリーレストランを中心に導入されてきた。しかし近年は、すき家や松屋などの牛丼店、はま寿司などの回転寿司へと広がり、今回、新たにカレーチェーンのCoCo壱番屋も加わった。深夜料金は、特定の業態だけのものではなくなりつつある。 背景にあるのは、人件費をはじめとした深夜営業のコスト上昇だ。深夜料金は、単なる便乗値上げではなく、24時間営業や深夜営業を維持するための仕組みと捉える必要がある。 一方で、料金を上乗せすれば、すべての店が収益を改善できるわけでもない。導入できる店とできない店の差はどこにあるのか。CoCo壱番屋の深夜料金導入を起点に、その背景と外食企業への影響、さらに変化する夜の外食市場について考えてみたい。 深夜営業を直撃する人件費の上昇 深夜料金が広がる最大の背景は、人件費の上昇である。最低賃金

三輪大輔
9月8日読了時間: 8分


串カツ田中がリブランディング。ハイボール110円、新ロゴ・新店舗で狙う次の20年
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 串カツ田中が、ブランド誕生18年目にして初の大規模なリブランディングに乗り出した。 運営するユニシアホールディングスは2026年9月4日、新たなブランドロゴと店舗デザイン、新タグライン「今日も、田中で。」を発表した。さらに9月10日からは「無限ハイボール(トリスハイボール)」を100円(税込110円)で新設するなど、全国の店舗でドリンク価格も改定する。 「串カツ田中」の新ロゴを披露するユニシアホールディングス代表の貫啓二氏と、PR大使に就任したももいろクローバーZの佐々木彩夏さん。ブランド誕生18年目で初のリブランディングを実施した 今回のリブランディングで注目したいのは、単なるロゴや内装の変更にとどまらないことだ。店舗、商品、価格、利用シーンまで含めて、次の20年に向けてブランドそのものを再設計しようとしている。 世田谷の住宅街から始まった串カツ田中 串カツ田中の1号店は2008年12月、東京・世田谷に誕生した。当時はリーマン・ショックのさなか。運営会社は株式会社ノートで、串カツ田中は会社の起死回生をかけて生ま

三輪大輔
9月4日読了時間: 6分


フードデリバリー市場はなぜ撤退が相次ぐのか。menu撤退で見えたUber Eats(ウーバーイーツ)・出前館・ロケットナウ「3強時代」の死角
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト コロナ禍をきっかけに急拡大したフードデリバリー市場で、大きな再編が進んでいる。 KDDIは2026年8月、子会社のmenuが展開するフードデリバリーサービスを9月30日で終了し、その後menuを解散・清算すると発表した。KDDIは、フードデリバリー市場を取り巻く競争環境の変化や今後の事業見通しを総合的に検討した結果としている。 menuは2020年、サービスの認知拡大に向けてデリバリーバッグや自転車などを使ったプロモーションを展開。日本発のフードデリバリーとして存在感を高めてきた。 国内ではこれまで、foodpanda、DiDi Food、Chompyなどが撤退し、2026年3月にはWoltも日本市場から撤退した。そして今回のmenu撤退によって、国内のフードデリバリー市場はUber Eats、出前館、ロケットナウを中心とした「3強時代」が鮮明になってきた。 一方で、市場そのものが縮小を続けているわけではない。2025年のデリバリー市場規模は8240億円。2024年には一度減少したものの、2025年は再び増加に転

三輪大輔
8月28日読了時間: 14分


くら寿司は110円値下げで復活できるか。 スシロー・はま寿司との競争から見る回転寿司の価格戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 回転寿司チェーン「くら寿司」が、9月4日から最低価格を115円から110円へ値下げする。原材料価格や人件費、エネルギーコストの上昇を背景に、外食業界ではここ数年、値上げが当たり前になってきた。その中で最低価格を引き下げる今回の決定は、かなり目を引く。 ただし、くら寿司が全面的な値下げに踏み切ったわけではない。これまで115円で販売していた「サーモン」「生えび」「赤貝」など33品目は120円へ値上げする。一方で、最低価格を110円へ下げ、110円の商品を計37品目まで揃える。つまり今回の改定は、単なる値下げではない。「どの商品を上げ、どの商品を下げるのか」を選別し、価格帯そのものを組み直す価格戦略なのである。 くら寿司は増収でも利益が減っている では、なぜくら寿司は今、最低価格を下げるのだろうか。 2026年10月期中間期の売上高は1252億5300万円で前年同期比6.5%増だった。一方、営業利益は24億7600万円で14.7%減。売上は伸びているものの、利益は前年を下回っている。さらに直近では、国内既存店の客数が

三輪大輔
8月25日読了時間: 6分


外食業界で「増収減益」が相次ぐ理由とは。スシローの海外利益が国内を超えた決算から見える次の競争
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食企業の決算発表が相次いでいる。 足元の外食決算で目立つのが、売上は伸びているにもかかわらず、利益が減少する「増収減益」だ。モスフードサービス、ワタミ、力の源ホールディングス、トリドールホールディングスなどでは、売上を伸ばしながらも利益面では苦戦が見られた。 一方、すかいらーくホールディングス、物語コーポレーション、ゼンショーホールディングス、FOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)など、増収増益を実現する企業もある。 同じように原材料費や人件費などのコスト上昇に直面しながら、なぜこれほど利益に差がつくのだろうか。足元の決算を読み解くと、国内市場で収益を確保する難しさと、その先の成長を左右する海外戦略の課題が見えてくる。 外食の決算で「増収減益」が相次ぐ理由 増収減益企業を見ると、コスト上昇の影響が鮮明だ。モスフードサービスは2027年3月期第1四半期に売上高が前年同期比3.6%増となった一方、営業利益は52.9%減となった。力の源ホールディングスも売上高5.9%増に対して、営業利益は48.6%減

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8月18日読了時間: 6分


スシローはなぜ京樽を売却するのか。吉野家からスシロー、そして「和食さと」へ。京樽が渡る理由
回転ずし「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)が2026年8月7日、子会社の京樽を「和食さと」を展開するSRSホールディングスへ譲渡すると発表した。譲渡額は37億4500万円で、9月1日付で全株式を譲渡する予定だ。 京樽は、テイクアウト寿司「京樽」と、回転寿司「回転寿司みさき」などを展開する寿司事業会社である。今回のスシローによる京樽売却だけを見ると、F&LCによる事業ポートフォリオの整理、いわゆる「選択と集中」に映る。しかし、京樽がたどってきた歴史とF&LC傘下での5年間を見ると、それだけでは説明しきれない。 「回転寿司みさき」は、F&LCが京樽の買収後に「海鮮三崎港」から刷新したグルメ系回転寿司。首都圏の駅前や商業施設を中心に展開しており、SRSグループ入り後は「にぎり長次郎」「うまい鮨勘」とのシナジーも期待される。 京樽は、吉野家ホールディングス、F&LC、そしてSRSホールディングスと、三つの大手外食グループを渡り歩くことになる。そして今回の譲渡は、F&LCの戦略だけでなく、現在のスシローがどこまで変

三輪大輔
8月7日読了時間: 6分


ドムドムハンバーガーの名古屋再進出に見るMBOの狙い。藤﨑社長が描く「ブランド再生」から「チェーン再成長」への道筋
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ハンバーガー業界が活況を呈しています。 市場の成長を牽引しているのが、最大手の日本マクドナルドです。2025年12月期は、フランチャイズ店を含む全店売上高が8886億円、最終利益が339億円となり、いずれも過去最高を更新しました。値上げを繰り返しながらも客足は大きく落ちず、ハンバーガーが日常的な外食として定着していることをあらためて示しています。 マクドナルドの好調を追うように、他社も次の成長に向けた動きを加速させています。バーガーキングは積極的な出店を続け、2026年4月には国内355店舗へ到達しました。2028年末までに600店舗を展開する目標を掲げ、マクドナルド、モスバーガーに続く国内第3の勢力として存在感を高めています。 ロッテリアでは、ゼンショーホールディングスの傘下入り後、「ゼッテリア」への転換が進んでいます。モスフードサービスも、「おぼんdeごはん」などを運営するビー・ワイ・オーを約112億円で買収し、ハンバーガーに依存しない事業基盤を築こうとしています。 最大手が過去最高の業績を更新し、後発チェー

三輪大輔
7月30日読了時間: 11分


モスが「おぼんdeごはん」を112億円で買収。その理由とM&A戦略を読み解く
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食業界でM&Aが相次いでいる。日本KFCホールディングスはカーライルの傘下に入り、すかいらーくホールディングスは資さんうどんを買収。さらにコロワイドは、カフェ・ベローチェなどを展開するC-Unitedを完全子会社化した。 そうした流れの中で、モスフードサービスも「和食・酒 えん」「おぼんdeごはん」などを展開するビー・ワイ・オーを約112億円で買収すると発表。一見すると、ハンバーガーチェーンが和食企業を買ったというニュースに見える。しかし、その背景には、モスが次の成長段階へ進むための戦略がある。 商業施設を中心に展開する「おぼんdeごはん」。定食を軸に、丼やうどん、甘味など幅広いメニューをそろえ、女性やファミリー層の日常使いを取り込んできた。 モスが買収に動いた二つの理由 今回、モスフードサービスがビー・ワイ・オーの買収に動いた理由は、大きく二つある。 一つ目は、利益の振れ幅が大きいことだ。モスフードサービスは2026年3月期に連結売上高が初めて1000億円を突破した。一方で、2023年3月期には最終赤字へ転落

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7月23日読了時間: 7分


芸能人は飲食店を経営し、外食企業は有名人を経営に迎える。速水もこみちさん、斎藤佑樹氏らに見る有名人と外食の新しい関係
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ここ最近、有名人と外食ビジネスの距離が急速に縮まっています。一つは、芸能人自身が店を経営し、現場に入る動きです。もう一つは、企業が有名人を広告塔ではなく、経営やブランドづくりの内側に迎える動きです。 例えば、俳優の速水もこみちさんは、京都で自ら厨房に立つレストランを立ち上げます。一方、「鰻の成瀬」は、元プロ野球選手の斎藤佑樹氏を、おもてなしを担う責任者として迎えました。一見すると逆方向の動きですが、起きていることの本質は同じです。 元プロ野球選手の斎藤佑樹氏(左)を「Chief Omotenashi Officer(COO)」として迎えた「鰻の成瀬」。急拡大から次の成長段階へ向け、ブランド価値の向上を図る人事として注目される。(写真:フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社リリース) かつて、芸能人と飲食店の関係は、名前や肖像を使って集客する形が中心でした。その後、本人がメニューや店づくりに関わるプロデュース型が広がり、現在は自ら経営や現場まで担う「第3の形」が目立ち始めています。同時に企業側も、有名人の

三輪大輔
7月21日読了時間: 8分
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