【飲食経営者の肖像】「私」ではなく「私たち」で語る経営。ゴンチャ ジャパン・角田淳社長が、ファンド傘下でも「幸せ」を語り続ける理由
- 三輪大輔

- 2月17日
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更新日:3月5日
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト
「私」ではなく「私たち」で語る経営。
ゴンチャ ジャパンは、幸せな会社なのではないか––––月刊『飲食店経営』3月号の表紙に登場いただいた、ゴンチャ ジャパンの角田淳社長。その取材を通して、私はそう感じた。

同社にはファンドが入っている。であれば、成果や成長率を前面に出してもおかしくはない。しかし角田淳社長の口から繰り返し語られたのは、自身の実績ではなく、社員やファンの存在であった。主語は「私」ではなく、「私たち」だ。その言葉の選び方が、強く印象に残った。
ブームを越えた、ブランドの「軸」と「GREAT Values」
そもそも「ゴンチャ」は、タピオカブームの中で急速にブランドの認知度を高めた。ブームに乗ったブランドは、短期間で消費され、やがて姿を消してしまうことも少なくない。実際、多くのタピオカチェーンはブームとともに市場から姿を消した。しかしゴンチャはそうならなかった。ブームに乗ることよりも、ブランドが大切にする価値を守ることを軸に据えてきたからである。もし短期的な拡大だけを追っていたなら、その芽はとっくに摘まれていたに違いない。
その成長の指針となるのが「GREAT Values」だ。「Genuine」「Respect」「Empathy」「Adventure」「Teamwork」。五つの価値観の頭文字を取り、「GREAT」と名付けた。ブランドメッセージは「幸せを淹れよう」である。
経営者自身が「一番のファン」であり続ける幸福
ゴンチャ ジャパンのビジネスの根幹は「人」にある。お客様も、店舗で働くスタッフも、すべてが起点である。幸せを届けるブランドである以上、まず自分たちが幸せでなければならない。角田氏はそう語る。だからこそ、店舗数を直接的な目標に据える発想とは距離を置く。ファンに支えられ、ファンが増え、その結果として店舗が増えていく。それがゴンチャ ジャパンの描く成長の姿である。
「ゴンチャ」のファンは確実に増えている。角田氏自身も一人のファンとして店舗に足を運び、ポイントを貯めているという。ブランドを愛し、ファンの視点に立ち続ける経営者に恵まれること。それは企業にとって大きな幸福である。
2025年、本上陸10周年を迎えるゴンチャ ジャパンは、新章へと踏み出す。目指しているのは利益の最大化である。しかし、その起点は常に「一人一人のお客様」にある。一杯のドリンクを通して、確かな体験を届け続けること。その積み重ねこそが、結果を生む。
一杯のティーが淹れてくれた、心温まる経営の形
ファンド傘下という環境の中で、あえて「幸せ」を経営の中心に据える。その姿勢が、「ゴンチャ」というブランドの存在感を、静かに、しかし確実に高めている。
コーヒー豆価格の高騰が続き、カフェ業態の経営環境は厳しさを増している。その中で紅茶を軸としたティーブランドの存在感は、これからさらに高まっていくだろう。国内200店舗、4000万人のファンという基盤は、簡単に覆るものではない。
角田氏の言葉は、少しの不純物もなく、心に染み渡っていく。まるでゴンチャのこだわりのティーのようである。取材を終えたとき、胸の奥が少し温かくなっていることに気づいた。私もまた、幸せを淹れてもらったのかもしれない。


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