【飲食経営者の肖像】「誰も取り残さない」を20年貫く。エイト・近藤一美氏が証明した“人を大切にする経営”の収益力
- 三輪大輔

- 2025年8月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年12月26日
飲食店経営9月号で、今月号の表紙の株式会社エイト代表取締役の近藤 一美氏にインタビューをしました。

久右衛門邸が示す、エイトの存在感
「行き先は?」
東戸塚駅から乗り込んだタクシーでそう聞かれたとき、少し躊躇した。果たして店名を告げても伝わるだろうか、と。目的地まではタクシーで十分ほど揺られる必要がある。ただ急いでいたこともあり、私は意を決して伝えた。
「久右衛門邸って、ご存知ですか?」
そう告げると、運転手は「ああ」と軽く返事をし、ナビを入力することなくアクセルを踏み込んだ。久右衛門邸は山の麓にある。東戸塚駅から、いくつもの坂を越えてようやくたどり着く。
「地元ではちょっと有名な場所なんでね」。そう言わんばかりの自信溢れるから、これまで何人ものお客を久右衛門邸まで送り届けてきたことが分かる。その事実に、株式会社エイトの存在感の大きさを感じた。
“誰も取り残さない”という経営軸
株式会社エイトの近藤さんは、まさに久右衛門邸のような、周りを輝かせるような方だ。変化を生み出せる人といってもいいだろう。そこに立つだけで、スタッフたちが前を向き、もう一歩踏み出そうと思える。生粋のモチベーターなのだろう。
取材の際、「いかにスタッフが大切か」というお話を力強く語っていた。どうすれば一人ひとりが活躍できるのか。誰も取り残さない組織をどうつくるのか。近藤さんの語り口からは、利他の発想が自然と滲み出ていた。これはSDGsの理念とも深く共鳴する考え方だ。
今でこそ「ダイバーシティ&インクルージョン」「サステナブル経営」といった言葉は当たり前になっている。しかし、近藤さんは社長を引き継いだ2005年から、すでにその価値観を経営の中心に据え、20年間にわたり実践してきている。それができたのは、常にスタッフを大切にしたいという考えが根底にあったからに他ならない。
その取り組みの成果は着実に現れている。現在、同社では多くの女性スタッフが活躍している。女性店長が4人在籍し、中には子育てをしながら時短勤務で働くスタッフもいるから驚きだ。飲食店の現場では、出産を機に離職する女性が依然として多い。しかし、株式会社エイトでは出産後に復帰するスタッフが確実に増えており、その積み重ねが組織の成長を支え、他社との違いを生み出す力となっている。
人を大切にする経営で次世代へ思いを紡ぐ
ここ数年、「人的資本経営」という言葉が盛んに語られるようになった。その本質は、人を“資源”ではなく“資本”として捉え、投資する経営である。株式会社エイトが築いてきた組織づくりは、まさにその先行例といえるだろう。
株式会社エイトは、2030年に創業50周年を迎える。あらためて人を大切にする会社は強いと感じた取材だった。その中心に立ち、周りを輝かせながら会社の文化をつくり続けてきた近藤さんの存在は、やはり大きい。
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