コロワイドが「ベローチェ」を440億円で買収!なぜ今カフェなのか?大戸屋・牛角に続く再生の行方
- 三輪大輔

- 1 日前
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更新日:1 時間前
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト
C-United買収の舞台裏——ファンドが磨き上げた「440億円」の価値
外食大手の株式会社コロワイドが、「カフェ・ベローチェ」や「珈琲館」などを展開するC-Unitedを約440億円で買収する。ベローチェや珈琲館は、もともとシャノアールという会社が運営していたカフェブランドである。しかし2010年代後半になると、低価格路線が行き過ぎたこともあり、「価格は安いが、店舗は古く、ブランドの魅力も弱い」という状態に陥り、成長が鈍化していた。

こうした状況の中、2019年に投資ファンドのロングリーチグループが同社を買収し、社名をC-Unitedへ変更。ファンド傘下で価格戦略の見直しや店舗改装、ブランド整理などを進め、収益構造の立て直しを図ってきた。具体的には、過度な低価格路線からの脱却に向けた値上げ、老朽化した店舗のリニューアル、さらにベローチェや珈琲館、カフェ・ド・クリエなど複数ブランドの整理・再設計を進めることで、企業価値の改善を図ってきた経緯がある。
そして今回、そのC-Unitedをコロワイドが約440億円で取得する。不振ブランドを取得し、価格戦略や店舗改革で収益を改善した上で他の企業へ売却するというスキームは、プライベートエクイティ(PE)による典型的な案件といえるだろう。
コロワイドの戦略——カフェ領域という「最後のピース」
コロワイドが今回、C-Unitedを傘下に収めたことは、外食ポートフォリオを完成させる意味では合理的な一手だ。同社はこれまで、「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋」などの有力ブランドを次々と買収し、外食ポートフォリオを拡大してきた。焼肉、寿司、定食、居酒屋といった主要な食事業態を網羅してきた同社にとって、カフェ領域は長らく空白地帯だった。今回の買収は、その最後のピースを埋める戦略的な意味合いを持つ。
しかし、懸念点も少なくない。それが「買収価格」と、コロワイドの買収後の「運営力」だ。
過熱する外食M&A市場——「高掴み」の懸念と評価額の高騰
まず「買収価格」という観点で見ると、以前、本メディアでも伝えた通り、こうした動きは最近の外食M&Aでも繰り返し見られている(2026年、外食M&Aは臨界点か。資さんうどん240億、バーカーキング800億で買収される「高値のカラクリ」)。
例えば、「資さんうどん」は、約240億円という評価で買収された。北九州発のローカルチェーンとして圧倒的な支持を集めてきたブランドだが、その評価の背景には、ロードサイド型の大型店舗モデルや、関東圏など未開拓エリアの出店余地といった「伸び代」があった。
また、さらに日本の「バーガーキング」を運営するビーケージャパンホールディングスは、約800億円規模とも言われる評価でゴールドマン・サックスが取得した。世界ブランドの使用権やフランチャイズモデルの再構築、出店戦略の見直しなどによって企業価値を大きく引き上げた、典型的なファンド案件である。
こうして見ると、外食企業の評価額はここ数年で明らかに跳ね上がっている。資さんうどんで約240億円、ベローチェを擁するC-Unitedで約440億円、バーガーキングでは800億円規模とも言われる。評価額が上がりすぎれば、次の買い手が限られるという問題も生まれる。外食企業は、店舗、ブランド、人材といった複合的な資産で成り立つビジネスであり、数字だけで運営できるものではない。
今回のベローチェ買収も、そうした文脈の中にある。企業価値を磨き上げたブランドを引き継ぐことはできても、それをさらに成長させることができるかは別の問題だ。評価額が高くなればなるほど、買い手に求められる経営の難易度も上がる。
今回の買収が、コロワイドにとって合理的なポートフォリオ拡張となるのか。それとも「高掴み」となってしまうのか。今後の展開が注目される。
「買収後の運営力」——ブランドの世界観は守れるか
もう一つの論点が、コロワイドの買収後の運営である。コロワイドはこれまで数多くのブランドを買収してきたが、買収後にブランドの世界観を磨き上げ、再成長につなげた例は多いとは言いがたい。
たとえば「牛角」は、西山知義氏(現ダイニングイノベーショングループ ファウンダー)が立ち上げた当初、デートでも使えるようなおしゃれな焼肉店として支持を集めたブランドだった。また「大戸屋」も、手作り感のある家庭的な定食店という温かな価値を軸にファンを広げてきた。しかし現在は、フードコート出店なども含め、そうしたブランドの核となる世界観が薄れ、看板だけが残っているようにも映る。
今回の「ベローチェ」や「珈琲館」も、知名度の高いカフェブランドではあるが、その魅力は単なる店舗数や価格帯だけではない。ブランドの空気感や使われ方こそが価値を形づくっている。コロワイドがこれらのブランドの価値をどこまで理解し、磨き直すことができるのか。今回の買収は、その力量が試される案件になりそうだ。



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