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【アルバム論評】SUPER BEAVER/SUPER BEAVER 20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム

  • 執筆者の写真: 三輪大輔
    三輪大輔
  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:2 日前

2025年、最も聴いたアルバムは何かといえば、SUPER BEAVERのライブ盤「SUPER BEAVER 20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」だ。


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個人的に、良いバンドには三つの条件があると考えている。第一にバンド形態がシンプルであること。第二に昔の曲を演奏すること。そして第三にライブアルバムを出すことだ。ライブはバンドを全てをさらけ出す。だからこそ、ライブ盤を堂々と出せるバンドは信頼に足る。


THE YELLOW MONKEYの「SO ALIVE」「LIVE LOUD」、Red Hot Chili Peppersの「Live in Hyde Park」、Oasisの「Familiar to Millions」、MUSEの「Live At Rome Olympic Stadium」など、これまで何度も聴き込んできたライブ盤は数多い。どれも名盤といっていいだろう。


SUPER BEAVERの本作は、こうした歴史的ライブ盤に十分匹敵する仕上がりである。ギター、ベース、ドラム、ボーカルという四人編成のプリミティブな形態でありながら、音のスケールが驚くほど大きい。ライブサポートで入っている河野さんのキーボードが適度な彩りを加えているとはいえ、それぞれの技量が高いからこそ生み出せる迫力だ。


そして何より大きいのが、観客の声である。まさに“もう一つの楽器”だ。渋谷くんがMCで語った「俺とあなたでSUPER BEAVER」という言葉の通り、観客はもう一人のメンバーといって間違いない。歌いたくなる楽曲が揃っているため、コーラスが自然発生的に重なり、音源全体に圧倒的な厚みと迫力を生んでいる。 ライブ=LIVEであるとはよくいったもので、それぞれの楽曲はその瞬間にしか成立しない臨場感と魅力を放つ。まさに楽曲が“生きている”といっていいだろう。


一曲目の「東京」から、その魅力は全開だ。初っ端から観客の大合唱が起こり、現地で体感していたら間違いなく鳥肌ものだった。その後、「青い春」から「突破口」「美しい日」「閃光」、そして「ひたむき」へと一気に駆け抜けていく。どの曲でも観客の声がしっかりと録られており、音源全体を押し上げているのは言うまでもない。実際のライブであれば、この流れのどこかにMCが入っていたはずだが、それを省いて曲を連ねる構成はライブアルバムならではの魅力ともいえる。ここまでの六曲は、まるでフェスの一枠を一気に観たかのような熱量を持つ。ZOZOマリンという巨大な会場を、一瞬にして“ライブハウス”へ変えてしまうだけの力を感じた。


その後の流れで特に好きなのが「秘密」と「東京流星群」である。「秘密」を皮切りに、もう一つ別のライブが始まったような空気が生まれる。「この瞬間、この音楽をつくっているのはあなただぞ」という渋谷くんの言葉は、この日のハイライトの一つだったといっていいだろう。SUPER BEAVERのライブ哲学が、この一言にすべて集約されている。


もう一曲の「東京流星群」は、2013年に発表された楽曲で、「それでも世界が目を覚ますのなら」と並び、この日演奏された中でも古い曲である。「現場至上主義」の2日目、THE YELLOW MONKEYとの対バンで行われた埼玉スーパーアリーナで聴いたときにも感じたが、この曲は大きな会場で演奏されることを宿命づけられて生まれたような楽曲だ。スケール感が際立ち、空間の広さを味方につける力を持つ。


ライブハウスで演っていたころは数十人規模の観客だったかもしれない。それが数百になり、数千になり、いまでは三万人規模の「東京流星群」大合唱が起こり、会場を揺らす。渋谷くんの煽りとともに響く歌声には、積み重ねてきた年月への感慨が自然と湧き上がる。だからこそ、昔の曲をやり続けるバンドは信頼できるのだ。


ライブの最高潮に達したのが「アイラブユー」である。「アイラブユー」は、令和のロックを代表するライブアンセムといっていいのではないだろうか。ロックアンセムとは、何度聴いても興奮でき、いつどの場面であっても観客の心を一気に引き上げる力を持つ楽曲を指す。


例えば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「リライト」は、まさにフェス時代が生んだ典型的なロックアンセムである。私自身も何度となく耳にしてきたが、いつ聴いてもテンションが最大まで跳ね上がる名曲だ。「アイラブユー」もそれと同じ力を持つ。何度聴いても胸が熱くなるだけでなく、会場全体が幸せな空気に包まれ、ひとつの方向へと一気にまとまっていく。


そして最後の「切望」である。「巻き込んで笑いたい 巻き込まれて笑いたい」。その歌詞は、SUPER BEAVERのライブ空間そのものを言い当てた言葉だ。SUPER BEAVERのライブは、バンドと観客が全員でつくりあげる空間である。観客が歌い、笑い、巻き込まれながら、場が一体となっていく。その意味で、「切望」は今のSUPER BEAVERを象徴する曲と言えるのではないだろうか。まさに強い求心力を備えたライブバンドだ。


SUPER BEAVERは、四十代のおじさんの自分でさえ胸が熱くなるのだから、十代や二十代、高校生だったらなおさらだろう。このライブアルバムは、何度聴いても胸が熱くなり、確実にモチベーションが高まる。令和のロック史に確かな足跡を残す一枚だといっても過言ではない。




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