ブロンコビリー・あさくまはなぜ好調? ステーキ店を支える「サラダバー」の力

三輪大輔|外食ビジネスアナリスト
ステーキ店を訪れたはずなのに、サラダバーで何を食べるかに迷ってしまう。野菜や惣菜を皿に盛り、スープやカレーも楽しむ。肉が届く前から、食事の満足感が高まっていく。
そんなサラダバーを強みにするブロンコビリーとあさくまが、売上を伸ばしている。もちろん、肉の商品力や販促、出店なども成長を支えている。ただ、両社の魅力を考えるうえで、サラダバーの存在は欠かせない。
大幅増益のブロンコビリー、28年ぶりに売上100億円を突破したあさくま
ブロンコビリーの2026年12月期第3四半期累計(1〜9月)の売上高は、前年同期比12.8%増の253億5100万円。営業利益は同48.4%増の30億5400万円となり、大幅な増収増益を達成した。

あさくまも、復活から成長へと歩みを進めている。2026年1月期の売上高は前期比20.3%増の100億4500万円となり、28年ぶりに100億円を突破。営業利益も同188.9%増の5億1900万円と、大きく伸びた。

続く2027年1月期上期(2026年2〜7月)は、出店コストの増加などで営業減益となったものの、売上高は前年同期比27.2%増。既存店売上高も同15.8%増となり、2026年7月まで44カ月連続で前年を上回った。新店を増やすだけでなく、既存店でも売上を伸ばしている点に注目したい。
サラダだけでは終わらない、食べ放題の魅力
ブロンコビリーは2026年4月、長年親しまれてきた「新鮮サラダバー」を約40年ぶりに刷新。「ブロンコビュッフェ」として、サラダにとどまらない食べ放題の魅力を打ち出した。季節のサラダや店内仕込みのデザートなどに加え、カレーや焼き芋も楽しめる内容だ。

あさくまも、45品目以上のサラダバーを展開している。野菜だけでなく、コーンスープやカレー、デザートなども揃え、食事全体を楽しめる品ぞろえを強みにしている。提供内容は店舗によって異なるが、肉に添えるサラダというイメージを超えた充実ぶりだ。

こうしたサラダバーは、「肉に何を付けるか」という追加サービスから、「この店で食べたい」と思わせる来店理由へと、その役割を広げていると考えられる。
ステーキ店がサラダバーに力を入れる三つの理由
ステーキチェーンがサラダバーに力を入れる理由は、顧客満足度と店の収益力をともに高められる点にある。
第一に、客単価と利益の向上だ。肉の質や量だけで違いを出そうとすると、原価がかさむ。そこで、サラダや惣菜、スープなどを含めたセットの魅力を高めれば、セットの注文を促せる。食材費や運営費の管理は必要だが、食事全体の価値を高めながら、客単価を引き上げる余地が生まれる。お客様にとっても、肉の量が少し増えることとは別の満足感がある。いろいろな料理を少しずつ楽しめ、自分の好みや空腹具合に合わせて食べられるからだ。
第二に、セルフサービスの活用だ。サラダバーには仕込みや補充、衛生管理、食器回収などの作業が欠かせない。一方で、一品ずつ注文を受け、各テーブルへ配膳する負担は抑えられる。また、肉が焼き上がるまでの時間にも、お客様はサラダバーを楽しめる。待つだけの時間を、食事を楽しむ時間に変えられる点も強みだ。好きな品を選び、自分で盛り付けることも、外食の楽しさになる。
第三に、再来店の促進と客層の拡大だ。季節ごとに料理が変われば、「今度は何があるだろう」という楽しみが生まれる。肉を食べたい人に加え、野菜を取りたい人や、惣菜やデザートを楽しみたい人にも応えられる。家族で外食する際も、全員の食べたいものが一致するとは限らない。サラダバーの品ぞろえは、異なる好みを受け止め、店を選びやすくする力を持っている。
家庭では揃えにくい豊かさが、来店理由になる
そもそも、これだけ多種類の野菜や惣菜を家庭で用意するには、手間も費用もかかり、簡単にはできない。野菜が高い時期には、決まった料金でたっぷり楽しめる安心感も大きくなる。
ステーキの価格や量だけを比べれば、店ごとの違いは限られたものに見えるかもしれないしかし、サラダや惣菜、スープ、デザートまで含めれば、食事の印象は変わる。「家ではなかなかできない食事を楽しめた」という満足感が生まれるからだ。
サラダバーを充実させれば、自動的に利益が増えるわけではない。品数を増やすほど、仕込みや補充、廃棄を管理する力も問われる。それでも、手間をかけてつくる豊かさが、お客様に選ばれる理由になる。ブロンコビリーとあさくまの売上好調を読み解くうえで、肉とともに、サラダバーが生み出す食事全体の価値に目を向けたい。


