ロッテリアが完全消滅し、新会社「バーガー・ワン」始動。外食首位ゼンショーがマックに挑む史上最大のガチンコ勝負
- 三輪大輔
- 22 時間前
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外食最大手のゼンショーホールディングスは2月16日、子会社「株式会社ロッテリア」を「株式会社バーガー・ワン」に社名変更した。旧ロッテ傘下だった形跡を名称からも完全に刷新し、自社ブランド「ゼッテリア」によるハンバーガー市場制覇への決意を鮮明にした。
かつて当ブログでは、ハンバーガー業界は規模を競う「強さの競争」から、顧客にどのような価値を担うかという「役割の競争」へと移行したと指摘した(ロッテリア消滅。ハンバーガー業界は「強さの競争」から「役割の競争」へ――ゼンショーが仕掛ける“ゼッテリア”の正体)。
今回の社名変更は、その延長線上にありながらも、単なる役割の明確化にとどまらない。市場トップを視野に入れた、より踏み込んだ事業再編と見ることもできる。
最新の外食売上ランキング
直近の売上高ベースで見ると、外食企業の順位は以下の通りである。
1位 ゼンショーホールディングス
2位 すかいらーくホールディングス
3位 FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)
4位 日本マクドナルドホールディングス
注目すべきは、それぞれの「成長の構造」の違いである。1位のゼンショー、2位のすかいらーくはいずれも多業態展開によって規模を拡大してきた。牛丼、寿司、ファミレスなど複数業種を束ねることで売上を積み上げている。3位のFOOD & LIFE COMPANIESは、スシローを軸に海外展開を積極化し、成長余地を海外市場に求めている。
一方、4位の日本マクドナルドは基本的にハンバーガー単一ブランドである。多業態でもなく、国内本体が海外展開を担っているわけでもない。それでもこれだけの売上規模を維持している点は特筆に値する。1971年の日本上陸以来、業績低迷や食の安全問題など、いくつもの局面を乗り越えてきた。ほんの数年前まで、外食売上ランキングでもゼンショーに次ぐ2位の座にあった。商品開発、オペレーション、マーケティング、人材育成。半世紀以上にわたって蓄積されたノウハウの厚みは、他社とは質が異なる。
ゼンショーの強みは「構造」である
そのマクドナルドに対し、ゼンショーはグループの総合力で向き合う。
核となるのは「マス・マーチャンダイジング・システム(MMD)」である。調達から加工、物流、販売までを自社グループで管理することで、価格競争力を確保してきた。実際、「すき家」の値下げや「はま寿司」の110円メニュー強化など、物価高局面でも価格政策を打ち出せるのはこの構造があるからである。ゼッテリアもこの調達網を活用し、価格面での競争力を高めていく方針である。
さらに、店舗改装によるカフェ機能の強化も進めている。コーヒー豆価格の上昇で一般カフェが値上げするなか、手頃に滞在できる場所への需要は根強い。食事だけでなく、滞在価値をどう設計するかも重要な論点となる。
多業態と構造で攻める外食1位のゼンショー。単一ブランドで積み上げてきた4位のマクドナルド。成長モデルは対照的である。だからこそ、今回の「バーガー・ワン」始動は意味を持つ。
「バーガー・ワン」の名に込められた野心
今回の社名変更で最も象徴的なのが、その名称だ。 「バーガー・ワン(Burger One)」の「ワン」には、ハンバーガー市場で長年トップを維持してきたマクドナルド(ナンバーワン)を射程に捉え、自らもその頂点(ナンバーワン)に立つという、ゼンショーの不退転の決意と読むこともできるだろう。
独自の調達システムと多業種のノウハウを武器に、ハンバーガーの王者へ挑むゼンショー。対して、半世紀以上の歴史と圧倒的なオペレーション力で迎え撃つマクドナルド。いわば、「1位vs1位」のガチンコ勝負だ。
新会社バーガー・ワンが、王者の牙城をどう切り崩していくのか、その勝負の行方は、日本外食史の一つの試金石となる可能性がある。