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日高屋が3年連続で中間期の過去最高益。「ちょい飲み」が広げる成長の可能性

執筆者の写真: 三輪大輔
三輪大輔
12 分前
読了時間: 5分

                         三輪大輔|外食ビジネスアナリスト


中華料理チェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高の業績が好調だ。2026年10月2日に発表した2027年2月期中間決算では、売上高が前年同期比10.8%増の340億6300万円、営業利益が11.0%増の40億6700万円となった。売上高、営業利益ともに、中間期として3年連続で過去最高を更新している。


「ちょい飲み」を大きく掲げる日高屋。食事から仕事帰りの一杯まで、幅広い利用に対応する。
「ちょい飲み」を大きく掲げる日高屋。食事から仕事帰りの一杯まで、幅広い利用に対応する。

食材費も人件費も上昇する中、なぜ日高屋は利益を伸ばせるのか。決算から見えるのは、来店客数を伸ばしてコスト増を吸収する強さと、食事から「ちょい飲み」まで、日常の幅広い需要に応える使い勝手のよさである。


客数を伸ばし、コスト増を吸収する日高屋

今回の決算で注目したいのは、増収増益の中身だ。原価率は前年同期の30.3%から31.2%へ上昇した。7月まで米価格が高水準だったことに加え、豚肉、小麦粉、長ネギなどの値上がりが影響している。正社員のベースアップやパート・アルバイトの増員、時給アップによって、人件費も増えた。それでも、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、57.8%から56.8%へ低下した。売上を伸ばすことで、各種コストの増加を吸収したのである。


会社は増収の要因として、新店の好調、既存店客数の持続的な伸び、ポイントやキャッシュレス関連のキャンペーン、営業時間の延長などを挙げている。商品面でも、夏場にニラレバ炒めの割引企画とハイボールのキャンペーンを同時開催。ニラレバ炒めの注文数は前年比1.5倍を超えたという。


出店も進めている。上期の新規出店7店舗のうち6店舗はロードサイドで、茨城、栃木、群馬などへ店舗網を広げた。駅前で培ったブランドを、郊外の需要にもつなげている。


日高屋の好調は、こうした複数の施策によって支えられている。その中で、業態の強さを考えるうえで見逃せないのが、食事とちょい飲みの両方に対応できる点だ。


「食べに行く店」が「軽く飲める店」にもなる

日高屋では、ラーメンやチャーハン、定食で食事を済ませることができる。一方で、餃子やニラレバ炒め、唐揚げなどをつまみに、酒を楽しむこともできる。昼は食事に利用し、別の日には仕事帰りの一杯に立ち寄る。「今日は夕食だけ」「今日は少し飲んでから食べる」と、その日の気分や予算に合わせて使い分けられる。


会社も決算短信で、食事とちょい飲み双方の期待に応える店づくりを掲げている。先ほどのニラレバ炒めとハイボールの同時販促にも、料理と酒を一緒に選んでもらう意図が読み取れる。


物価高で外食費を抑えたいときでも、帰宅前の一杯や、夕食と一緒に飲む楽しみまで全部なくしたいとは限らない。何品も注文して長く飲むほどではないが、軽く一杯は楽しみたい。日高屋は、そうした需要の受け皿になれる。


サイゼリヤ、しんぱち食堂にも共通する使い勝手

この強みは、日高屋だけのものではない。


サイゼリヤも、食事と飲酒を自由に組み合わせられるチェーンだ。パスタやドリアで食事を済ませることも、前菜や肉料理をつまみにワインを楽しむこともできる。1杯100円のグラスワインを用意し、公式サイトでも「サイゼ飲み」を紹介している。


2026年8月期第3四半期累計の日本事業は、売上高が前年同期比19.6%増、営業利益が120.7%増だった。会社は店内組織の改善、メニュー施策、DX活用などを業績の要因に挙げており、ちょい飲みへの対応も、こうした好調なチェーンが備える使い勝手の一つと捉えられる。


また、炭火焼きの魚定食を主力とするしんぱち食堂も興味深い。同店では、定食を注文した客に生ビールを提供している。焼き魚をつまみに一杯飲み、そのままご飯と味噌汁で夕食を済ませられる。


日高屋やサイゼリヤが料理を組み合わせて飲む楽しみに対応するのに対し、しんぱち食堂は、定食そのものに一杯を添える。居酒屋へ行くほどではない日の「夕食と晩酌」を、一つの店で完結させられるのである。


なぜ、ちょい飲みを取り込める店は強いのか

経営面から見ると、こうした店の強さは三つある。


一つ目は、食事客を基盤に、飲酒需要も取り込めることだ。酒を飲まない日にも来店する理由があり、飲みたい日は酒やつまみの追加注文を期待できる。飲む人と飲まない人が一緒に利用しやすいことも、客層を広げる。


二つ目は、既存の料理や設備を活用できることだ。餃子や炒め物、前菜、焼き魚などは、食事のおかずにも酒のつまみにもなる。飲酒客のために別の厨房や大がかりな専用メニューを用意しなくても、利用場面を広げられる。


三つ目は、同じ客の来店理由を増やせることだ。昼食、夕食、仕事帰りの一杯と、一つの店を使う場面が増える。新たな客を呼ぶだけでなく、既存客の来店頻度を高める余地も生まれる。


ただし、酒の追加注文で客単価が上がっても、滞在時間が長くなり、満席時の回転率が落ちれば、必ずしも収益が改善するわけではない。重要なのは、酒を置くことに加えて、価格、料理、席、立地が、気軽に飲む使い方に合っているかだ。食事客への対応力を保ちながら、一杯を楽しめる余地をつくる。そのバランスが、ちょい飲みを成長につなげる。


居酒屋の競争相手は、居酒屋だけではない

食事を主力とする店が飲酒需要を取り込む動きは、回転寿司や牛丼チェーンにも見られる。

例えばスシローは、これまで生ビールの半額キャンペーンを実施し、寿司やサイドメニューと一緒に楽しむ利用を促してきた。吉野家も2025年、夕方以降の対象時間帯に、缶ビールとおかずを組み合わせた「吉呑みセット」を販売している。


寿司や牛丼を食べに来た客に一杯を追加してもらう。あるいは、軽く飲むために立ち寄ってもらい、そのまま食事も楽しんでもらう。業態は違っても、食事と飲酒の接点を広げる狙いは共通している。


日高屋の3年連続の中間期最高益から考えたいのは、日常外食の店が持つ、こうした利用場面の広さだ。食事だけでも満足でき、飲みたい日には一杯を足せる。ちょい飲みには、既存の店や料理を生かしながら、来店理由を増やす可能性がある。「どこで食べるか」と「どこで飲むか」が重なる中、居酒屋の競争相手は居酒屋だけではなくなっている。



 
 
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