【飲食経営者の肖像】「もし実現したら面白いか」。IFREA・曽根浩伸氏が1億円の投資に込めた、新時代の「計算と遊び心」
- 三輪大輔
- 2025年2月14日
- 読了時間: 3分
更新日:1月21日
新しい服に袖を通したとき。ふとしたきっかけで、お気に入りの音楽が一つ増えたとき。そして、心から「美味しい」と思える飲食店に出会ったとき。そんな小さな幸せに触れると、日常そのものは何も変わっていないはずなのに、自分の人生が、ほんの少し豊かになったように感じられる。誰しも、そういう瞬間を経験したことがあるはずだ。
株式会社 IFREAの曽根さんと話しているあいだ、私の心は終始、その感覚に満たされていた。それは、新しい時代に触れたとき特有の、高揚感だったのかもしれない。「これまで取材してきた飲食経営者とは、まったく違う」。そう感じたのは、言葉としてではなく、体感としてである。

「これまでの飲食経営者とは、まったく違う」
曽根さんとお会いしたのは、「月刊飲食店経営3月号」の表紙取材の場だった。
立ち振る舞い。言葉の選び方。意思決定のスピード。そして、経営に対する思考そのもの。その全てが、これまで出会ってきた飲食経営者とは、明らかに異なっていた。メディアでは「破天荒」なイメージが先行しているため、もしかすると営業妨害になるかもしれない。だが実際の曽根氏は、爽やかで、真面目で、礼儀正しい好青年である。それでいて、どこにも気負いがない。
だからこそ、大胆な決断を、冷静な分析のもとで下すことができる。多くの飲食経営者が新規出店を控えていたコロナ禍。その只中で、曽根氏はあえて新たな飲食店を出店した。それが2022年6月に誕生した「一億円で居酒屋を建ててみた 億万鳥者 新宿本殿」だ。なんと挑発的で、ユーモアに満ちたコンセプトだろうか。
居酒屋でありながら、「億万長者」の気分を味わえる空間と料理。そして実際に、約1億円という投資を行っている。一般的に、飲食店の開業資金は1000万〜3000万円程度が相場とされる。その常識を踏み越え、あえて「1億円」という規格外の投資を行った。しかも、コロナ禍という逆風の中で、である。
普通なら、そんな決断は下せない。だが曽根氏は、それを飄々とやってのけた。なぜできたのか。そこには明確な計算があった。「1億円かけた居酒屋」という強烈なストーリーそのものを設計し、SNSでの拡散やメディア露出を含めた広告効果までを織り込む。これは、極めて戦略的な投資である。
規格外の投資は、感覚ではなく計算だった
そもそも同社はSNSマーケティングを得意とする企業だ。だが、それを流行りものとして扱っているわけではない。あくまで経営の一手段として、冷静に、構造的に活用している。コロナ禍では、「これまでのやり方が通用しなくなった」と盛んに言われた。しかし本質は、そこではない。ただ単に、「これまでのやり方しか見ていなかった」だけなのだ。それは、私自身も同じだった。曽根氏の話を通じて、その事実に気づかされ、新しい時代に一歩踏み込んだような清々しさを感じた。
現在、同社は「登牛門」や「KAMAKURA」といった複数のブランドを展開している。さらに、業態開発やSNSマーケティングに関するコンサルティング依頼も多い。業界内での存在感は、確実に高まりつつある。それは、不可能を可能にしてきた実績があるからだ。
「もし実現したら面白い」を、事業に変える
社名である「イフリア」が示す通り、同社の経営スタンスは一貫している。「もし実現したら面白いかどうか」。その仮説を、妄想で終わらせず、事業として形にしていく。だが、その裏側には常に、明確な仮説と、実行を前提とした覚悟がある。その「もし」を、単なる夢想で終わらせない。その姿勢こそが、曽根氏を新しい時代の飲食経営者たらしめている理由なのだと、強く感じた。
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