【新店紹介】「銀座おのでら」の廻転鮨がハレザ池袋に。文化の街で楽しむ本格江戸前鮨

三輪大輔|外食ビジネスアナリスト
再開発を通じて、文化やエンターテインメントを楽しむ街としての魅力を高めている池袋。その拠点の一つが、劇場や映画館、オフィスなどが集まる「Hareza(ハレザ)池袋」だ。豊島区が掲げる「国際アート・カルチャー都市構想」のシンボルとして整備され、2020年に全体開業。東京建物 Brillia HALLやTOHOシネマズ池袋など、八つの劇場空間が集まり、さまざまな文化を発信している。

この文化拠点に、新たな食の選択肢が加わった。株式会社銀座おのでらが10月23日に開業した「廻転鮨 銀座おのでら ハレザ池袋店」である。場所はHareza Towerの1階。表参道の本店に続き、同社の回転寿司業態として都内2店舗目となる。開業に先立つレセプションに足を運び、料理や店づくりの特徴を取材した。

銀座おのでらの味を、ハレザ池袋で
同店が目指すのは、高級鮨店「鮨 銀座おのでら」で培ってきた目利きや技術を生かし、本格的な江戸前鮨を気軽に楽しめる店だ。レセプションでは、料理長が、伝統的な技法を守りながら、回転寿司という親しみやすいスタイルで鮨を届けたいと説明した。観劇や買い物の合間に立ち寄る一人客から、家族や友人との食事まで、幅広い利用を想定しているという。

店づくりで大切にするのが、職人の仕事を間近に感じられるライブ感だ。カウンター越しに、鮨を握る所作や包丁使いを眺め、出来上がった一貫を受け取る。料理だけでなく、それを仕上げる過程も食事の楽しみになる。「今日は少しいい鮨を食べたい」という普段使いにも、大切な人と過ごす時間にも利用できる。職人との距離の近さと、回転寿司の入りやすさを兼ね備えた店といえる。
「やま幸」のまぐろと、ひと手間が光る江戸前の仕込み
レセプションで最初に提供されたのは、豊洲市場の仲卸「やま幸」から仕入れた、青森県大間産の生本まぐろの中トロだった。職人が目の前で握り、煮切り醤油を塗って提供する。仕入れた魚を切って載せるだけでなく、食べる直前のひと手間まで含めて、江戸前鮨の仕事を伝える一貫だ。

その握りを支えるシャリにも工夫がある。料理長によると、赤酢を使いながら、酸味が強く感じられすぎないよう改良を重ねてきたという。江戸前鮨の特徴を生かしつつ、幅広い客層が食べやすい味わいを目指している。米の炊き方も一律ではない。その時々の米の状態を見ながら水分量を調整し、米そのものの味を感じられるよう、やや硬めの炊き上がりを意識していると説明した。
続いて提供された穴子は、本店と同じ仕込み場で、同じように炊いているという。高級鮨店と回転寿司という業態の違いを超えて、共有できる仕込みを生かしている点も興味深い。

親しみやすい回転寿司の一貫にも、仕入れや仕込み、シャリの調整といった仕事が積み重なっている。レセプションでは、その背景まで知ることができた。
軍艦から締めのラーメン、池袋限定の甘味まで
一方で、伝統的な江戸前鮨だけにメニューを絞るわけではない。料理長は、旬の魚介を使った鮨に加え、オリジナルの軍艦、締めのラーメン、デザートまで用意していると紹介した。江戸前の技術を軸にしながら、回転寿司ならではの幅広い楽しさも追求する。こうした品ぞろえは、複数人で訪れた際にも選びやすい。伝統的な握りを楽しみたい人も、軍艦やサイドメニューを交えて食べたい人も、それぞれの好みに合わせて注文できる。
池袋店限定の甘味も用意する。老舗和菓子店「榮太樓總本鋪」が監修する「黒みつとつぶあんのミニ抹茶パフェ」を、2027年1月末までの期間限定で提供。鮨を食べた後の甘味まで含めて、食事の時間を楽しんでもらう提案だ。

観劇や映画鑑賞の前後に食事をし、その余韻を語り合う。料理の幅広さは、そうしたハレザ池袋での過ごし方にも合っている。
回転寿司が集まる池袋で、職人の技が存在感を放つ
レセプション中も、店の前で立ち止まり、店内をのぞき込んだり、写真を撮ったりする人の姿が目立った。開業前から関心の高さがうかがえた。
実は池袋は、大手回転寿司チェーンが店舗を構える激戦区でもある。はま寿司の池袋グリーン大通り店に加え、東口側だけでも、くら寿司は池袋東口店と池袋サンシャイン60通り店の2店舗を展開。スシローも池袋駅東口店、南池袋店、池袋サンシャイン60通り店を構えている。
そうした中で、おのでらが打ち出すのは、職人の技を間近に感じながら味わう本格的な江戸前鮨だ。目の前で握り、ひと手間を加えて提供する一貫は、回転寿司を楽しむ選択肢の多い池袋でも、強い存在感を放つだろう。近隣で働く会社員はもちろん、観劇や映画、買い物を楽しみに来る人々、そして訪日外国人にも支持されそうだ。店頭で足を止める人々の姿を見ていると、一気に人気を集める可能性を感じた。


