【飲食DXの伴走者】Indeed PLUSは飲食店の採用をどう変えるのか。求人広告の「出して終わり」を変えるAI活用

三輪大輔|外食ビジネスアナリスト
「求人広告にお金をかけたのに、一人も採用できなかった」。飲食店にとって、採用費が成果につながらない負担は大きい。欠員が続けば、既存の従業員にしわ寄せがいき、営業時間や出店計画にも影響する。
しかし、店長や経営者が営業を担いながら、求人媒体を比較し、原稿を作り、応募状況を分析するのは簡単ではない。採用を改善したくても、時間やノウハウが足りないという問題がある。
こうした飲食店の採用を、データとAIで支えるのが「Indeed PLUS」だ。従来の求人広告との違いを見ていくと、媒体選びから掲載後の改善まで、採用の進め方を変える仕組みが見えてくる。
「どの媒体に出すか」を選ぶ負担が減る
従来の掲載課金型の求人広告では、まず掲載する媒体を選ぶ必要があった。学生のアルバイトを集めたいのか、ランチタイムに働く人を探したいのか、正社員を採用したいのか。求める人材に合う媒体を考え、掲載期間や広告枠を決める。しかし、採用に詳しい担当者がいない店にとって、その判断自体が難しい。
Indeed PLUSは、複数の求人サイトと採用管理システムをつなぐ求人配信プラットフォームである。連携先には「Indeed」「タウンワーク」「フロム・エー ナビ」「リクナビNEXT」「しゅふきた」などがある。
一度投稿した求人について、仕事内容や特性、閲覧・応募状況などを踏まえ、AIを活用した技術で適切と判断した連携求人サイトに自動掲載する。すべてのサイトに一斉掲載する仕組みではなく、掲載先が一つになる場合もあるが、企業が媒体を一つひとつ選び、個別に出稿する負担を減らせる。
同じ飲食ブランドでも、店舗によって必要な勤務時間や人材は異なる。求人ごとに届け方を調整する仕組みは、こうした店舗単位の採用にも役立つと考えられる。
予算を決め、反応を見ながら改善できる
費用の使い方にも違いがある。掲載期間や広告枠に料金を支払う方式では、応募がなくても費用がかかる。結果を見通せないまま出稿し、採用できなければ再び費用を投じる。経営者が求人広告に、賭けに近い感覚を抱くこともあるだろう。
Indeed PLUSでは、求人がクリックされると料金が発生する。採用予算に合わせて予算を設定でき、掲載後も原稿を変更できるため、反応を見ながら改善を進められる。例えば、ランチタイムの人員を求めるなら、実際に対応できる勤務時間や、家庭との両立に役立つ条件を具体的に示す。学生を採用したいなら、授業や試験期間との調整について伝える。同じ店でも、誰に来てほしいかによって、強調する情報は変わる。
もちろん、クリックされたからといって採用できるわけではない。それでも、予算を決め、途中の反応を確認し、伝え方を変えられることは、採用費への納得感につながる。広告を出した後も、店側が改善に関われる点に意味がある。
AIが求人原稿の見直しを支える
ただ、掲載後に変更できても、何を直せばよいか分からなければ改善は進まない。その作業を支えるのが、2026年9月に提供開始が発表された「Indeed PLUS AIアシスタント」のベータ版だ。
求職者の検索や閲覧、応募に関するデータ、同じ職種・地域の求人動向などを分析し、求人ごとの改善案を提示する。担当者が毎回質問や指示を入力しなくても提案が届き、内容を確認して原稿に反映できる。企業の承認なく、AIが原稿を書き換えることはない。なお、利用には掲載方法などの条件がある。
一般的な生成AIでも文章は作れる。しかし、周辺の求人を調べ、自店の課題を整理し、修正を指示するには手間がかかる。日々の営業に追われる飲食店にとって、その準備を減らせる意義は大きい。AIによる配信と原稿改善の支援によって、採用担当者は、自店の働き方や魅力が正しく伝わっているかという判断に時間を使いやすくなる。
掲載4日目に応募、採用単価は2万8800円
過去に取材した福岡の老舗居酒屋では、従来の求人媒体で応募が得られず、店頭の張り紙や知人の紹介に頼っていた。Indeed PLUSの活用では、少人数の店ならではの温かい接客や職場の魅力を言語化し、原稿を改善しながら募集した。その結果、掲載開始から4日目に有効な応募を獲得。応募3件から1人を採用し、採用単価は2万8800円となった。目標としていた「3万〜5万円以内で1人採用」を下回った事例である。
この事例からも、求人の届け方と伝え方を見直す余地が分かる。知名度のある大手だけでなく、小さな店にも、その店で働く魅力はある。それを求職者に伝わる情報に変えることが重要だ。
人を採用するには、給与や勤務条件を整え、応募者に速やかに対応する必要がある。そのうえで、媒体選びや分析、原稿改善の負担を軽減できれば、採用に十分な人員を割けない飲食店も、改善を続けやすくなる。
予算を決め、求人を届け、反応を見て伝え方を磨く。Indeed PLUSが飲食店の採用を変える可能性は、この一連の取り組みをデータとAIで支える点にある。


