top of page
外食ビジネスアナリスト 三輪大輔
MIWA JOURNAL
「MIWA JOURNAL」は、外食産業・飲食業界の最新動向を、企業戦略・業界構造・現場視点から読み解く専門メディアです。日々のニュースを単に追うのではなく、「なぜそれが起きているのか」を継続的に解説しています。「外食ニュース解説」をはじめ、「飲食経営者の肖像」「飲食DXの伴走者」などの連載を通じて、外食産業の現在地と変化の本質を伝えています。更新は火曜・木曜。
検索


はま寿司「洗剤ドバドバ」寿司テロ動画の衝撃。配膳レーンすら突破する愚行が「1皿100円台」を完全崩壊させる
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「はま寿司」の店舗とみられる場所で、回転寿司のレーン上にある商品に洗剤のような液体をかける、いわゆる寿司テロ動画がSNS上で拡散され、大きな波紋を広げています。仮に中身が洗剤ではなかったとしても、飲食における「安心」を直接的に傷つけた時点で、単なる悪ふざけでは済まされません。少なくとも威力業務妨害に問われ得る重大な犯罪行為です。 回転寿司業界は、過去の度重なる迷惑動画を受けて厳正な対応と店舗運営の見直しを迫られてきました。しかし、今回の事件は、業界がこれまで巨額の投資で進めてきた「防衛策の前提」をも根底から揺るがす、極めて深刻な事態と言えます。 厳罰化の歴史――すでに「いたずらでは済まされない」業界の姿勢 回転寿司をめぐっては、2023年にスシローで客による迷惑動画が問題となり、運営会社が約6700万円の損害賠償を求めました。その後、調停成立等を受けて請求は取り下げられましたが、少年は家裁送致されています。 くら寿司も、しょうゆ差しを直飲みするように見せた動画をめぐって警察に被害届を提出し、威力業務妨害の疑いで逮

三輪大輔
5月28日読了時間: 4分


飲食店の倒産は過去最多へ。103万円の壁、カード手数料の苦境に「TOKYO DINING COLLECTIVE」が示す、声を数字に変える政策提言
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 帝国データバンクによると、2025年の飲食店経営事業者の倒産は900件となり、前年の894件を上回って過去最多を更新した。食材費や光熱費の高騰、賃上げによる利益圧迫に加え、中小・零細の飲食店を中心に、倒産・廃業の件数は高止まりすると見られている。 業態別に見ても、厳しさは表れている。東京商工リサーチによると、2026年1〜4月の「居酒屋」倒産は88件となり、前年同期比54.3%増と急増した。1989年以降、1〜4月としては最多を更新している。 コロナ禍が明け、街には人が戻った。繁華街には活気が生まれ、インバウンド需要も回復している。外から見れば、外食産業は苦境を抜け出したようにも見える。しかし、現場の経営環境は決して楽になっていない。原材料費、人件費、光熱費、物流費は上がり、人手不足も深刻化している。客足の回復だけでは吸収しきれない負担が、現場に重くのしかかっている。 しかも、いま飲食店が直面している課題は、個々の店の努力だけでは解決しにくいものが多い。年収の壁をめぐる制度改正、特定技能人材の受け入れ、クレジット

三輪大輔
5月26日読了時間: 18分


居酒屋倒産が過去最多のなぜ。大手最高益と中小倒産のギャップで読む、勝ち方の変化
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 居酒屋の倒産が過去最多ペースで増えている。 東京商工リサーチの調査によると、2026年1〜4月の「居酒屋」倒産は88件となり、前年同期比54.3%増と急増した。1〜4月期としては、1989年以降で過去最多だ。 この数字だけを見ると、世間は「居酒屋不況」と受け止めたくなる。もちろん、原材料費、人件費、光熱費の上昇は大きな負担だ。若者のアルコール離れや宴会需要の変化も、経営に深刻な影響を与えている。しかし、このニュースを単なるコスト高による不況とだけ読むと、いま外食市場で起きている本質的な地殻変動を見誤ることになる。なぜなら、一方で大手外食企業は「過去最高益」を叩き出すほどの好調に沸いているからだ。 企業名(グループ名) 2026年期の業績動向 ワタミ 2026年3月期:5期連続増収、連結営業利益は5.9%増の48億3000万円(国内外食事業が牽引) コロワイド 2026年3月期:売上収益3000億円超、事業利益ともに過去最高を更新 エターナルホスピタリティグループ (鳥貴族) 2026年7月期:通期予想を上方修正。

三輪大輔
5月18日読了時間: 6分


「飲まない客」を拒む居酒屋の本音。アルコール粗利の崩壊と「第3の危機」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト アルコール粗利の崩壊と、変わり始めた“酒場”の役割 居酒屋をめぐる「飲まない客」論争が、SNSで定期的に再燃している。 「ソフトドリンクしか頼まないなら居酒屋に来るな」 「いや、メニューにある以上、何を頼もうが自由だろう」 一見すると、単なるマナー論や世代間の価値観の衝突にも見える。しかし、この問題の背景には、現在の居酒屋が抱える、極めて構造的な変化が存在している。 「飲まない客」論争の裏にある、居酒屋の“三つの危機” 特に個店の居酒屋は今、「市場縮小」「コスト高」、そして「客層変化」という三つの危機に直面している。 一つ目は、酒離れや飲み会文化の衰退による市場縮小だ。かつてのように「会社終わりに飲みに行く」という習慣そのものが弱くなり、コロナ禍を経てその流れはさらに加速している。 二つ目は、原材料費、光熱費、人件費などの高騰によるコスト増である。特に居酒屋は、深夜営業や火を使う調理も多く、エネルギーコストの影響を受けやすい業態だ。加えて、慢性的な人手不足も続いている。 そして三つ目が、「客層の変化」である。SN

三輪大輔
5月14日読了時間: 5分


第2次ハワイアンブームの正体。なぜ今、「ハワイ」を求める商業施設が爆増しているのか?
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ■テレビ各局で相次ぐ「ハワイ特集」の舞台裏 4月1日にYahoo!ニュース エキスパートで公開した「第2次ハワイアンブームの正体。“高嶺の花”となったハワイ旅行と、国内代替消費の拡大」という記事が、大変ありがたいことに多くのテレビメディアで取り上げられました。 4月中旬から5月にかけて、各局のニュース番組で「いま、なぜ日本でハワイアンが熱いのか」というテーマで解説させていただきました。 『グッド!モーニング』(テレビ朝日) 『news every.』(日本テレビ) 『THE TIME,』(TBS) 『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(テレビ朝日) なぜ今、再び「ハワイアン」なのか。この現象を読み解くには、まずこれまでのブームの歴史を振り返る必要があります。 ■ 2010年、トレンドエリアを席巻した「第1次ブーム」 そもそも日本における本格的なハワイアンブームは、今回が初めてではありません。第1次の波が起きたのは、今から15年ほど前の2010年前後のことです。 この時、ブームの象徴となったのが『Eggs 'n

三輪大輔
5月7日読了時間: 5分


なぜデリバリーは「お店価格」になったのか? 出前館・Uber Eats・ロケットナウの新戦略が目指す「日常化」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト コロナ禍で爆発的に普及したデリバリー。しかし、お店より高い価格設定がネックとなり、利用を控える人も少なくありません。実際、国内市場は2019年の約4200億円から2025年には約8240億円へと拡大する見込みですが、ここ数年は成長が鈍化しています。 こうした中、米Coupangグループの日本法人が運営する「ロケットナウ」が、配送料・サービス料無料というモデルで存在感を高め、「出前館」や「Uber Eats」も「お店価格(店頭同等価格)」へと舵を切りました。 これは単なる価格競争ではありません。「高いから時々使うサービス」だったデリバリーを、「日常的に使うもの」へと変えるための競争です。なぜ各社は、収益を削ってまで踏み込むのか。そこには、デリバリーを「便利なサービス」から「生活インフラ」へと変えようとする構造転換があります。 「お店価格」競争の引き金となったロケットナウ 日本のデリバリー市場における2026年の激変。その引き金を引いたのが、韓国発の「ロケットナウ」でした。韓国では、デリバリーはすでに水道や電気のよう

三輪大輔
4月28日読了時間: 6分


「鳥貴族」「日高屋」「しゃぶ葉」も…なぜ外食チェーンの炎上は止まらないのか? 現場の限界とSNS時代のQSC戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「バイトテロ」ではなく、現場の限界が可視化されている 2026年に入り、大手飲食チェーンの炎上が相次いでいます。 「しゃぶ葉」:肉が薄すぎて皿が透けて見えるとSNSで拡散。 「鎌倉パスタ」:パン食べ放題なのに「パンが全然来ない」と不満が噴出。 「鳥貴族」:食べ飲み放題での誤請求トラブル。 「日高屋」:異物混入や接客トラブルの投稿。 これらの多くは、かつてのような「バイトテロ」ではありません。むしろ、「現場のオペレーションが追いついていない実態」が、顧客のスマートフォンを通じて可視化されてしまっているのです。 以前であれば、店内でのクレームや、その場での指摘で終わっていたかもしれません。しかし今は違います。一つの違和感が写真や動画とともに投稿され、個店の出来事がブランド全体の評価へと直結する時代になりました。 ラーメン二郎を巡る“ルール論争”や、スターバックスの卒業投稿を巡る炎上などもそうです。本来はその場で完結するはずだった個別事案が、SNSによって「企業全体の姿勢」の問題へと変換されてしまう。いまや、顧客のスマ

三輪大輔
4月23日読了時間: 5分


トリドールが「DX注目企業2026」に選出された理由。「心的資本経営」を支えるDXと、その先にあるAX
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食DXの本質を教えてくれたトリドール 外食業界のDXの進め方については、トリドールホールディングスを見ておけば間違いない。実際、私自身も過去に何度か同社のDX推進の取り組みを取材させていただき、そのたびに多くの示唆を得てきた。特に、DXがまだ一般化していない段階で取材の機会をいただき、外食におけるDXの本質を学ばせてもらった。それが拙著『外食業DX』のベースにもなっている。 そのときにDXの本質を教えていただいたのが、同社のDXを牽引する存在である執行役員CIO/CTOの磯村康典氏だ。同氏は富士通を経てソフトバンクに入社し、小売業のECシステム開発などに従事。その後、ガルフネット執行役員へ就任。2012年にはOakキャピタルの執行役員として、事業投資先であるベーカリーやFMラジオ放送局などの代表取締役を務めながら、ハンズオンでの経営再建に携わってきた。 こうした実務と経営の両面を横断してきたキャリアが、現在のDX推進の礎となっていることは間違いない。また、『飲食店経営』6月号のDX特集でもお話を伺っており、DX

三輪大輔
4月10日読了時間: 7分


ゼンショー創業者、小川賢太郎氏は外食の何を変えたのか。5坪の弁当屋から1兆円企業へ、その軌跡
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト これまで外食ビッグ4やバーガー・ワン、 オリーブの丘 など、ゼンショーホールディングスについて繰り返し書いてきた。それは、この企業を起点に見ることで、現在の外食業界を理解しやすくなるからだ。それほどまでに、同社は産業そのものを体現する存在だといっていい。 生成Aiで作成 そうした前提に立てば、ゼンショーの創業者である小川賢太郎会長は、日本の外食産業に金字塔を打ち立てた稀代の経営者といえるだろう。その小川賢太郎会長が4月6日に逝去された。外食産業の歴史を振り返ると、そのリーダー像は約10年ごとに変化してきた。 例えば、1970年代は「Pioneers」の時代だ。外食という産業そのものが未成熟な中で、チェーンストア理論を持ち込み、骨格をつくった開拓者たちが現れた。「つぼ八」を創業した石井誠二氏や、日本マクドナルドを立ち上げた藤田田氏などが、その代表例である。 1980年代は「Builder」の時代だ。ロードサイド型の大型店舗を全国に広げるとともに、都市部でも外食文化が広がり、日常の中に定着していった。「カフェ.

三輪大輔
4月7日読了時間: 7分


「鰻の成瀬」の大量閉店は失敗か、再生への布石か。「しんぱち食堂」との比較で見えた外食フランチャイズの成功法則
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 外食経営を「短期的な成否」で断じてはならない理由 不祥事であれば話は別だが、私は、うまくいかなかった飲食店を安易に断じることはしたくない。そもそも経営は、短期で評価できるものではない。ある時点では失敗に見えたとしても、数年後に復活することは珍しくない。実際、外食の歴史は、その繰り返しで成り立っている。まさに、災禍は糾える縄のごとし。不幸が別のかたちで作用し、結果として成功へと転じることもある。だからこそ、今起きている現象を「良い・悪い」で切り分けるのではなく、その背景にある構造を捉えることが大切だ。 異例のスピードで駆け抜けた「2年300店舗」の軌跡 それを踏まえて、フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社が運営する「鰻の成瀬」の話をしたい。鰻の成瀬は、2022年の1号店出店以降、驚異的なスピードで店舗を拡大してきた。わずか2年で300店舗を達成し、外食業界でも異例の成長曲線を描いた存在である。 職人を必要としないオペレーション。居抜きで出店できる柔軟性。そして低い損益分岐点。こうしたビジネスモデル

三輪大輔
4月2日読了時間: 8分


日本上陸の『Too Good To Go』がフードロス削減を加速。「安売り」を「社会貢献」へ再定義する外食産業の革命
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 2026年4月、再び訪れた「値上げラッシュ」 2026年4月、食品の値上げは2798品目にのぼり、年内初の値上げラッシュが起きている。原材料費や人件費の上昇が続く中、外食や食品の価格は上がり続けており、消費者にとって「安く買える機会」はこれまで以上に大きな価値を持つ。 一方で、飲食店にとって値引きは簡単な手段ではない。単純な値下げは、ブランド価値の毀損や利益率の悪化につながるリスクを伴う。特に近年は、価格戦略そのものがブランドのポジショニングと強く結びついており、安易な値引きは長期的な競争力を損なう可能性すらある。そのため、多くの企業は値引きを「やりたくてもできない」状況に置かれてきた。 このジレンマに対して、今、新たな解が生まれつつある。それがフードロス削減を軸にした「条件付きの値引き」だ。「クリスピー・クリーム・ドーナツ」で導入が進む「Too Good To Go」や、「丸亀製麺」「エクセルシオールカフェ」などが活用する「TABETE」といったサービスを通じて、余剰商品や売れ残りがアプリ経由で販売される仕組

三輪大輔
3月31日読了時間: 5分


「安くて、旨くて、感じがいい」はもう限界。特定技能の停止が突きつける、外食「奇跡の時代」の終焉
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 外食業界に激震が走っている。 政府は2026年4月13日をもって、人手不足対策の柱であった「特定技能1号(外食業)」の受け入れを原則停止すると発表した。2028年度までの上限5万人に、想定を上回るスピードで達してしまったためである。 すでに採用を決め、現地で教育を終え、「あとは日本に来るだけ」と入国を待っていた企業にとっては、経営計画が根底から覆る事態だ。しかし、このニュースが突きつけている真の課題は、単なる人手不足ではない。日本の外食が守り続けてきた「高品質・低価格・好サービス」というビジネスモデルそのものの限界である。 1. 顧客の「期待」と産業の「現実」の致命的なズレ 今、日本の外食は、逃げ場のない「板挟み」にある。 まず、顧客側の感覚を整理してみよう。 ・モバイルオーダーは味気ない。丁寧な接客がいい。 ・海外展開ばかりするのは国内を軽視しているように見える。 ・外国人スタッフが増えることには、不安を感じる。 ・しかし、価格は1円たりとも上げてほしくない。 一方で、企業側の現実はこうだ。 ・圧倒的に人が足

三輪大輔
3月29日読了時間: 3分


すかいらーくが110億円で買収したのは「焼き魚」ではない。都市攻略の高回転エンジン「しんぱち食堂」の実力
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 110億円の買収劇が示す「外食の新機軸」 すかいらーくが110億円で「しんぱち食堂」を買収した。これは単なる低価格帯の補強ではない。都市部攻略と成長軸の再設計を見据えた戦略的な一手である。焼き魚という手間のかかるメニューをファストフード化した同業態は、効率性と回転率を両立したモデルだ。人口減少とコスト上昇が進む中、外食企業には立地・業態・運営を一体で見直す視点が求められている。今回の動きは、その具体例といえる。 郊外から都市部へ——すかいらーくが直面する「立地と効率」の課題 すかいらーくは「ガスト」「バーミヤン」「しゃぶ葉」といった中価格帯のテーブルサービス業態を基盤としてきた。業態開発力にも定評があり、「飲茶TERRACE 桃菜」や「イタリアン リゾート ペルティカ」など、新ブランドの創出でも存在感を示している。 一方で、低価格帯における明確な強みは限定的だった。そうした中、同社は人口動態の変化を踏まえ、郊外型から都市型へのシフトを進めている。高度商業集積エリアや私鉄沿線の駅前では、限られたスペースで高回転を

三輪大輔
3月25日読了時間: 3分


「模倣から独自化へ」中国の外食企業に飲み込まれる日本の品質。中国市場に潜む二つのカントリーリスク
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 「スシロー騒動」の裏側に潜む、一店舗の不祥事では済まない構造的危機 北京のスシローで発生した当局の立ち入り検査と、SNSでの激しいバッシング。このニュースを見て、「またか」と思われた方も多いかもしれません。しかし、この騒動を一店舗の不祥事や、単なる一時的な感情の高まりとして片付けるのは危険です。ここには、日本の外食産業が直面する、より根深く、残酷な構造変化が隠されているからです。 かつて世界を席巻した日本の家電産業が、地場企業の猛追とデジタル化の波に飲み込まれていった歴史。いま、外食産業もまた、同じ道を辿ろうとしている危険性があります。 地政学リスク以上に恐ろしい、もう一つの「見えないリスク」とは これまで、中国におけるカントリーリスクといえば、政治情勢や不買運動といった「地政学的リスク」を指すのが一般的でした。しかし、今、真に警戒すべきだと感じるのは、二つ目のリスク――すなわち、経済発展のプロセスに伴う構造的逆転です。中国の外食企業に競争の主導権を握られること自体が、新たなカントリーリスクになりつつあります。

三輪大輔
3月19日読了時間: 6分


コロワイドが「ベローチェ」を440億円で買収!なぜ今カフェなのか?大戸屋・牛角に続く再生の行方
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト C-United買収の舞台裏——ファンドが磨き上げた「440億円」の価値 外食大手の株式会社コロワイドが、「カフェ・ベローチェ」や「珈琲館」などを展開するC-Unitedを約440億円で買収する。ベローチェや珈琲館は、もともとシャノアールという会社が運営していたカフェブランドである。しかし2010年代後半になると、低価格路線が行き過ぎたこともあり、「価格は安いが、店舗は古く、ブランドの魅力も弱い」という状態に陥り、成長が鈍化していた。 こうした状況の中、2019年に投資ファンドのロングリーチグループが同社を買収し、社名をC-Unitedへ変更。ファンド傘下で価格戦略の見直しや店舗改装、ブランド整理などを進め、収益構造の立て直しを図ってきた。具体的には、過度な低価格路線からの脱却に向けた値上げ、老朽化した店舗のリニューアル、さらにベローチェや珈琲館、カフェ・ド・クリエなど複数ブランドの整理・再設計を進めることで、企業価値の改善を図ってきた経緯がある。 そして今回、そのC-Unitedをコロワイドが約440億円で取

三輪大輔
3月10日読了時間: 4分


外食売上ランキングの地殻変動——「ビッグ4」へと再編された勢力図。ゼンショーの帝国、すかいらーくのDX、スシローの世界戦略、マックの超利益
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 外食産業の勢力図は大きく変わるのだろうか。 日本の外食産業において、売上高ランキングの顔ぶれは長年、不動のものだった。株式会社ゼンショーホールディングス、株式会社日本マクドナルド、株式会社すかいらーくホールディングス。いわゆる、この「ビッグ3」は2010年以降、ほぼ固定化されており、アベノミクス、インバウンドバブル、そしてコロナ禍と、幾度もの荒波を乗り越え、時に乗りこなしながら、外食業界の成長を牽引してきた。 不祥事が起きてもなお、その序列は不動だった。例えば、2014年から15年にかけ、日本マクドナルドは食の安全を揺るがす深刻な危機に直面。2015年度には過去最大となる347億円もの純損失を叩き出した。だが、それでもランキングは動かない。むしろサラ・カサノバ氏(当時社長)の下で鮮やかなV字回復を遂げ、ビッグ3の地位をいっそう盤石なものにした。 しかし、2025年。ついに決定的な地殻変動が起きた。不祥事があったわけではない。それどころか過去最高益を更新したにもかかわらず、日本マクドナルドが売上順位で4位へと転落

三輪大輔
3月4日読了時間: 12分


トリキバーガーが2026年3月に完全撤退。なぜ鳥貴族は「焼き鳥一点突破」を選んだのか?――「Global YAKITORI Family」が描く、世界制覇へのシナリオに迫る。
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト トリキバーガー撤退は「失敗」ではない。勝てる領域への戦略的資源集中 「トリキバーガー」が2026年3月をもって完全撤退する。焼き鳥チェーン「鳥貴族」を展開する企業の新規業態として注目を集めた挑戦は、数年で幕を閉じることになった。 しかし、この決断を単なる失敗と見るのは早計である。今回の撤退は、多角化から「焼き鳥一点突破」へと舵を切る明確な戦略判断だ。以前、本ブログの 「経営者の肖像」で大倉社長 を取り上げた。そこで強く印象に残ったのは、「理念を掲げるだけでなく、構造を変える」という姿勢である。今回の社名変更とバーガー撤退は、その思想の延長線上にある。 縮小ではない。勝てる領域への資源集中だ。その先にあるのは、焼き鳥によるグローバル展開という構想である。 「Global YAKITORI Family」が目指す第2の創業 鳥貴族は2024年5月、社名をエターナルホスピタリティグループへ変更した。大倉忠司社長は以前、 『月刊飲食店経営』のインタビュー で、その理由をこう語っている。 「一番大きな理由は海外展開を本気

三輪大輔
2月27日読了時間: 4分


ロッテリアが完全消滅し、新会社「バーガー・ワン」始動。外食首位ゼンショーがマックに挑む史上最大のガチンコ勝負
外食最大手のゼンショーホールディングスは2月16日、子会社「株式会社ロッテリア」を「株式会社バーガー・ワン」に社名変更した。旧ロッテ傘下だった形跡を名称からも完全に刷新し、自社ブランド「ゼッテリア」によるハンバーガー市場制覇への決意を鮮明にした。
かつて当ブログでは、ハンバーガー業界は規模を競う「強さの競争」から、顧客にどのような価値を担うかという「役割の競争」へと移行したと指摘した(ロッテリア消滅。ハンバーガー業界は「強さの競争」から「役割の競争」へ――ゼンショーが仕掛ける“ゼッテリア”の正体)。
今回の社名変更は、その延長線上にありながらも、単なる役割の明確化にとどまらない。市場トップを視野に入れた、より踏み込んだ事業再編と見ることもできる。

三輪大輔
2月16日読了時間: 3分


外食DX2.0の幕開け。なぜ今、ベンダーの再編と「All-in-One」への統合が加速しているのか
今、外食DXを支えるベンダー界隈で、かつてない規模の統合や提携が相次いでいる。
2024年9月、貨幣処理機器大手のグローリー株式会社が、次世代店舗創出プラットフォーム「O:der Platform」の提供を行う株式会社Showcase Gigを子会社化。2025年9月には、ともにデリバリー注文一元管理サービスを手掛ける株式会社tacomsと株式会社モバイルオーダーラボが経営統合するなど、統合や提携の動きは静かに、でも確実に起きていた。
そしてここ最近、その動きはさらに活発化している。2026年1月には、LINEヤフー株式会社が、飲食店向け予約管理サービス株式会社トレタを買収。2026年2月には、三井物産流通グループ株式会社は、飲食店の仕込み工程の代行や食材調達を支援する株式会社シコメルフードテックと資本業務提携を締結した。
これらは決して偶然の重なりではない。大袈裟ではなく、私たちは今、「外食DX2.0」という新たな時代の入り口に立っている。DXが本来目指すべき「全体最適」への回帰が始まったということもできるだろう。

三輪大輔
2月14日読了時間: 6分


高市氏の「食品消費税ゼロ」で外食は不利になるのか。煽り論が見落とす仕入税額控除と付加価値の本質
8日に投開票が行われ、自民党の圧勝で終わった衆議院選挙。選挙戦を通じて大きな争点となったのが「食品消費税0%」である。各党が消費税率引き下げを打ち出す中、高市氏は「食品消費税0%」を掲げた。
消費税の是非そのものについては、ここでは論じない。その政策議論を受け、ネット上では「スーパーの惣菜(0%)と外食(10%)の差で、飲食店から客が消える」といった悲観論が目立つ。外食は不利になる、価格競争で勝てない、という声も少なくない。
確かに、単純な税率差だけを見れば、その懸念は理解できる。しかし、この議論には二つの重要な見落としがある。一つは「仕入税額控除」の仕組みであり、もう一つは、外食が本来売っている「付加価値」という視点である。そもそも外食は、単なる食品の再販業ではない。価格比較だけで語ること自体が、ビジネスの前提を取り違えている可能性がある。
こうした前提を踏まえて、「食品消費税0%」が実施された場合の影響を、根本的な仕組みから整理してみたい。

三輪大輔
2月12日読了時間: 6分
bottom of page