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外食ビジネスアナリスト 三輪大輔
MIWA JOURNAL
「MIWA JOURNAL」は、外食産業・飲食業界の最新動向を、企業戦略・業界構造・現場視点から読み解く専門メディアです。日々のニュースを単に追うのではなく、「なぜそれが起きているのか」を継続的に解説しています。「外食ニュース解説」をはじめ、「飲食経営者の肖像」「飲食DXの伴走者」などの連載を通じて、外食産業の現在地と変化の本質を伝えています。更新は火曜・木曜。
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おにぎり第3世代が始まった。「ワンハンド天丼」ロイヤルおにどんが示す次の外食市場
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト おにぎり市場が次の段階に入った おにぎり市場が、次の段階に入りつつある。これまでおにぎりは、コンビニや駅ナカで手軽に買える日常食として広がってきた。忙しい朝、移動中の昼食、小腹を満たす間食。日本人にとって、おにぎりはあまりにも身近な存在である。 しかし近年、そのおにぎりに新しい価値が加わってきた。専門店の増加である。東京・大塚の人気店「ぼんご」に代表されるように、注文を受けてから目の前で握り、具材をたっぷり詰め込むスタイルが注目を集めた。コロナ禍以降、同店を思わせるおにぎり専門店も増え、おにぎりは「安くて手軽な食べ物」から、「わざわざ食べに行く食事」へと価値を高めてきた。この流れを整理すると、おにぎりの進化は大きく3つの世代に分けて考えることができる。 第1世代は、コンビニ・駅ナカのおにぎり 第1世代は、コンビニや駅ナカを中心とした手軽なおにぎりである。誰でも、どこでも、短時間で買える。日常の食事にも、移動中の軽食にもなる。価格も手頃で、商品数も多い。おにぎりを日常食として広く定着させたのが、この第1世代だ。..

三輪大輔
5 日前読了時間: 8分


全東信破産が暴いたキャッシュレスの盲点。飲食店の売上は誰の利益になっていたのか?
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 全東信の破産は、単なる決済代行会社の倒産ではありません。飲食店の売上金を誰が預かり、誰が先に立て替え、どのように店舗へ入金していたのか。その仕組みの脆さが、一気に表面化した出来事です。 Yahoo!ニュースでは、「【チェック項目付】全東信破産で飲食店が今できること。カード端末停止、未入金確認、PayPay対応まで」加盟店が今できる対応を中心に整理しました。端末の停止、未入金売上の確認、代替決済の手配、資金繰り相談。緊急時には、まず現場が動ける情報が必要だからです。 しかし、全東信の破産には、もう少し大きな論点があります。キャッシュレス決済は飲食店に何をもたらしたのか。手数料だけでなく、売上金が外部に滞留するリスクをどう考えるのか。通常のカード加盟店審査では扱いが難しい業態に、全東信はどのような役割を果たしていたのか。そして、負債1259億円という大型倒産は、金融機関や実体経済にどのような影響を及ぼすのか。 結論からいうと、全東信の破産は、キャッシュレス化の裏側で膨らんでいた「売掛金リスク」を可視化した出来事といえ

三輪大輔
7月7日読了時間: 13分


セブンとマックが変えたスムージーの現在地。なぜ“意識高い飲み物”は日常の一杯になったのか
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 見かける機会が増えたスムージー スムージーを見かける機会が増えた。セブン-イレブンでは、店内の専用マシンで作る「セブンカフェ スムージー」が広がっている。マクドナルドも季節限定商品としてスムージーを展開している。カフェチェーンでも、季節の果物を使ったスムージーは珍しくなくなった。 かつてスムージーといえば、健康や美容に関心の高い人が飲む、いわば“意識高い飲み物”という印象もあった。ところが今は、コンビニで買える。マクドナルドでも買える。カフェでも選べる。いつの間にか、スムージーは日常の一杯になりつつある。日本におけるスムージーの広がりは、大きく三つの段階で見ると分かりやすい。 第1の波:2012年前後のグリーンスムージーブーム この時期のスムージーは、どちらかといえば「自分で作るもの」だった。野菜や果物を買い、ミキサーにかけ、朝の習慣として飲む。美容やダイエット、デトックスと結びつき、健康感度の高い人が選ぶ飲み物として広がっていった。 2010年代には、アサイーボウルやコールドプレスジュースなど、健康・美容系のド

三輪大輔
7月2日読了時間: 6分


外食は、改めて夢のある産業になっている。スターバックス日本事業の売却観測から考えたこと
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト スターバックス日本事業に売却観測 2026年6月10日、米スターバックスが日本事業の株式売却を含む選択肢を検討していると報じられました。取引額は4000億〜5000億円規模に達する可能性があるとされます。 スターバックスにとって日本は最大級の海外市場の一つです。国内店舗数は約2100店に上り、その約9割が日本の完全子会社による直営店舗だと報じられています。日本の都市生活の中に深く浸透した巨大ブランドに、なぜこれほどの評価がつくのでしょうか。 さらに問われるのは、その規模の事業を誰が買えるのかです。これは単なる売却検討ではありません。外食ブランドの価値を誰が、どのような形で保有し、次の成長につなげていくのかを示す動きでもあります。 日本のスターバックスは、都市生活に定着したブランド 日本のスターバックスは、単なるカフェチェーンではありません。仕事の合間に立ち寄る場所であり、待ち合わせの場所であり、勉強や作業をする場所であり、移動中に一息つく場所でもあります。 駅前、商業施設、オフィス街、住宅地、観光地など、さまざま

三輪大輔
6月16日読了時間: 5分


ちゃん系焼肉は一過性のブームではない? 牛角、焼肉ライクの先にある「第三の焼肉革命」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「ちゃん系」と聞くと、ラーメンを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし近年、焼肉業界でじわじわと存在感を高めているのが「ちゃん系焼肉」だ。店主を「〇〇ちゃん」と呼ぶことに由来するとされる焼肉店のスタイルで、カウンター越しに肉を切り分けるライブ感のある提供方法を特徴とする。2016年に大阪で生まれたこのスタイルは、徐々に東京へ広がり、現在では首都圏や地方都市へも浸透し始めている。 人気の理由は三つある。一つ目は、ライブ感だ。目の前で肉を切り分ける様子そのものがエンターテインメントとなり、寿司や天ぷらのカウンターのような体験価値を焼肉にもたらした。二つ目は、分かりやすさである。近年の焼肉はブランド牛や希少部位など選択肢が増えた一方、「何を頼めばいいのか分からない」という声も少なくない。ちゃん系焼肉は店ごとに看板商品が明確で、初めてでも楽しみやすい。三つ目は、安心感だ。産地や肉の特徴を目の前で伝えながら提供することで、価格だけではない納得感が生まれている。こうした特徴から、ちゃん系焼肉は単なる流行ではなく、新しい焼肉

三輪大輔
6月11日読了時間: 5分


うどん市場はなぜ激変しているのか?資さんうどん・丸亀製麺・山下本気うどんから読み解く「場所の取り合い」の裏側
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ここ最近、うどん市場の動きが激しい。長らく全国のうどんチェーンを牽引してきたのは、讃岐うどんだった。丸亀製麺とはなまるうどんが、コシのある麺、セルフ式、手頃な価格という価値を広げ、うどんを日常外食の代表的な選択肢に押し上げてきた。 しかし、ここに来て、新しい動きが目立っている。北九州発の「資さんうどん」が関東で存在感を高め、「焼肉きんぐ」などを展開する物語コーポレーションも「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」でうどん業態に参入した。都心では「山下本気うどん」のような若者向けの創作うどんも支持を広げ、原宿には博多うどんの「因幡うどん」も登場している。今、起きているのは、単なるうどんブームではない。うどん市場の多軸化である。 うどんは「安い」だけでは語れない うどんが注目される背景には、物価高と高齢化がある。多くの飲食店で値上げが行われる中で、うどんは今も「手頃で、軽く、食べやすい」日常食としての強さを持つ。ラーメンやハンバーガー、ファミリーレストランの客単価が上がる中で、うどんは比較的、価格への納得感を作りやすい。..

三輪大輔
6月9日読了時間: 6分


「吸わせても地獄、禁煙にしても地獄」倒産急増の居酒屋を悩ませるたばこ包囲網の現在地
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 2020年4月の改正健康増進法全面施行により、飲食店は全国的に原則屋内禁煙となった。いまでは、居酒屋でたばこを吸えないことも珍しくない。私自身もたばこは吸わない。たばこを吸わない人にとって、煙や臭いを気にせず過ごせる店内環境は重要である。受動喫煙対策が必要であることも当然だと思っている。吸う人も吸わない人も、互いに気持ちよく過ごせる環境づくりは、飲食店にとって避けて通れない課題である。 一方で、個店の居酒屋が置かれている状況はかなりシビアだ。たばこを排除すれば、喫煙客を失う可能性がある。かといって、分煙ブースや喫煙専用室を置けば、客席を削り、費用もかかる。店内で吸えないなら外で吸ってもらえばいい、という対応も、都市部では簡単ではない。今、居酒屋とたばこの関係は、大きな転換点にある。 飲食店の喫煙ルールは全国一律ではない 2020年4月の改正健康増進法全面施行により、飲食店は全国的に原則屋内禁煙となった。 ただし、国の制度には経過措置がある。2020年4月1日時点で営業していた小規模な既存店については、一定条件を満

三輪大輔
6月5日読了時間: 8分


はま寿司「洗剤ドバドバ」寿司テロ動画の衝撃。配膳レーンすら突破する愚行が「1皿100円台」を完全崩壊させる
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「はま寿司」の店舗とみられる場所で、回転寿司のレーン上にある商品に洗剤のような液体をかける、いわゆる寿司テロ動画がSNS上で拡散され、大きな波紋を広げています。仮に中身が洗剤ではなかったとしても、飲食における「安心」を直接的に傷つけた時点で、単なる悪ふざけでは済まされません。少なくとも威力業務妨害に問われ得る重大な犯罪行為です。 回転寿司業界は、過去の度重なる迷惑動画を受けて厳正な対応と店舗運営の見直しを迫られてきました。しかし、今回の事件は、業界がこれまで巨額の投資で進めてきた「防衛策の前提」をも根底から揺るがす、極めて深刻な事態と言えます。 厳罰化の歴史――すでに「いたずらでは済まされない」業界の姿勢 回転寿司をめぐっては、2023年にスシローで客による迷惑動画が問題となり、運営会社が約6700万円の損害賠償を求めました。その後、調停成立等を受けて請求は取り下げられましたが、少年は家裁送致されています。 くら寿司も、しょうゆ差しを直飲みするように見せた動画をめぐって警察に被害届を提出し、威力業務妨害の疑いで逮

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5月28日読了時間: 4分


飲食店の倒産は過去最多へ。103万円の壁、カード手数料の苦境に「TOKYO DINING COLLECTIVE」が示す、声を数字に変える政策提言
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 帝国データバンクによると、2025年の飲食店経営事業者の倒産は900件となり、前年の894件を上回って過去最多を更新した。食材費や光熱費の高騰、賃上げによる利益圧迫に加え、中小・零細の飲食店を中心に、倒産・廃業の件数は高止まりすると見られている。 業態別に見ても、厳しさは表れている。東京商工リサーチによると、2026年1〜4月の「居酒屋」倒産は88件となり、前年同期比54.3%増と急増した。1989年以降、1〜4月としては最多を更新している。 コロナ禍が明け、街には人が戻った。繁華街には活気が生まれ、インバウンド需要も回復している。外から見れば、外食産業は苦境を抜け出したようにも見える。しかし、現場の経営環境は決して楽になっていない。原材料費、人件費、光熱費、物流費は上がり、人手不足も深刻化している。客足の回復だけでは吸収しきれない負担が、現場に重くのしかかっている。 しかも、いま飲食店が直面している課題は、個々の店の努力だけでは解決しにくいものが多い。年収の壁をめぐる制度改正、特定技能人材の受け入れ、クレジット

三輪大輔
5月26日読了時間: 18分


居酒屋倒産が過去最多のなぜ。大手最高益と中小倒産のギャップで読む、勝ち方の変化
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 居酒屋の倒産が過去最多ペースで増えている。 東京商工リサーチの調査によると、2026年1〜4月の「居酒屋」倒産は88件となり、前年同期比54.3%増と急増した。1〜4月期としては、1989年以降で過去最多だ。 この数字だけを見ると、世間は「居酒屋不況」と受け止めたくなる。もちろん、原材料費、人件費、光熱費の上昇は大きな負担だ。若者のアルコール離れや宴会需要の変化も、経営に深刻な影響を与えている。しかし、このニュースを単なるコスト高による不況とだけ読むと、いま外食市場で起きている本質的な地殻変動を見誤ることになる。なぜなら、一方で大手外食企業は「過去最高益」を叩き出すほどの好調に沸いているからだ。 企業名(グループ名) 2026年期の業績動向 ワタミ 2026年3月期:5期連続増収、連結営業利益は5.9%増の48億3000万円(国内外食事業が牽引) コロワイド 2026年3月期:売上収益3000億円超、事業利益ともに過去最高を更新 エターナルホスピタリティグループ (鳥貴族) 2026年7月期:通期予想を上方修正。

三輪大輔
5月18日読了時間: 6分


「飲まない客」を拒む居酒屋の本音。アルコール粗利の崩壊と「第3の危機」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト アルコール粗利の崩壊と、変わり始めた“酒場”の役割 居酒屋をめぐる「飲まない客」論争が、SNSで定期的に再燃している。 「ソフトドリンクしか頼まないなら居酒屋に来るな」 「いや、メニューにある以上、何を頼もうが自由だろう」 一見すると、単なるマナー論や世代間の価値観の衝突にも見える。しかし、この問題の背景には、現在の居酒屋が抱える、極めて構造的な変化が存在している。 「飲まない客」論争の裏にある、居酒屋の“三つの危機” 特に個店の居酒屋は今、「市場縮小」「コスト高」、そして「客層変化」という三つの危機に直面している。 一つ目は、酒離れや飲み会文化の衰退による市場縮小だ。かつてのように「会社終わりに飲みに行く」という習慣そのものが弱くなり、コロナ禍を経てその流れはさらに加速している。 二つ目は、原材料費、光熱費、人件費などの高騰によるコスト増である。特に居酒屋は、深夜営業や火を使う調理も多く、エネルギーコストの影響を受けやすい業態だ。加えて、慢性的な人手不足も続いている。 そして三つ目が、「客層の変化」である。SN

三輪大輔
5月14日読了時間: 5分


第2次ハワイアンブームの正体。なぜ今、「ハワイ」を求める商業施設が爆増しているのか?
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ■テレビ各局で相次ぐ「ハワイ特集」の舞台裏 4月1日にYahoo!ニュース エキスパートで公開した「第2次ハワイアンブームの正体。“高嶺の花”となったハワイ旅行と、国内代替消費の拡大」という記事が、大変ありがたいことに多くのテレビメディアで取り上げられました。 4月中旬から5月にかけて、各局のニュース番組で「いま、なぜ日本でハワイアンが熱いのか」というテーマで解説させていただきました。 『グッド!モーニング』(テレビ朝日) 『news every.』(日本テレビ) 『THE TIME,』(TBS) 『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(テレビ朝日) なぜ今、再び「ハワイアン」なのか。この現象を読み解くには、まずこれまでのブームの歴史を振り返る必要があります。 ■ 2010年、トレンドエリアを席巻した「第1次ブーム」 そもそも日本における本格的なハワイアンブームは、今回が初めてではありません。第1次の波が起きたのは、今から15年ほど前の2010年前後のことです。 この時、ブームの象徴となったのが『Eggs 'n

三輪大輔
5月7日読了時間: 5分


なぜデリバリーは「お店価格」になったのか? 出前館・Uber Eats・ロケットナウの新戦略が目指す「日常化」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト コロナ禍で爆発的に普及したデリバリー。しかし、お店より高い価格設定がネックとなり、利用を控える人も少なくありません。実際、国内市場は2019年の約4200億円から2025年には約8240億円へと拡大する見込みですが、ここ数年は成長が鈍化しています。 こうした中、米Coupangグループの日本法人が運営する「ロケットナウ」が、配送料・サービス料無料というモデルで存在感を高め、「出前館」や「Uber Eats」も「お店価格(店頭同等価格)」へと舵を切りました。 これは単なる価格競争ではありません。「高いから時々使うサービス」だったデリバリーを、「日常的に使うもの」へと変えるための競争です。なぜ各社は、収益を削ってまで踏み込むのか。そこには、デリバリーを「便利なサービス」から「生活インフラ」へと変えようとする構造転換があります。 「お店価格」競争の引き金となったロケットナウ 日本のデリバリー市場における2026年の激変。その引き金を引いたのが、韓国発の「ロケットナウ」でした。韓国では、デリバリーはすでに水道や電気のよう

三輪大輔
4月28日読了時間: 6分


「鳥貴族」「日高屋」「しゃぶ葉」も…なぜ外食チェーンの炎上は止まらないのか? 現場の限界とSNS時代のQSC戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「バイトテロ」ではなく、現場の限界が可視化されている 2026年に入り、大手飲食チェーンの炎上が相次いでいます。 「しゃぶ葉」:肉が薄すぎて皿が透けて見えるとSNSで拡散。 「鎌倉パスタ」:パン食べ放題なのに「パンが全然来ない」と不満が噴出。 「鳥貴族」:食べ飲み放題での誤請求トラブル。 「日高屋」:異物混入や接客トラブルの投稿。 これらの多くは、かつてのような「バイトテロ」ではありません。むしろ、「現場のオペレーションが追いついていない実態」が、顧客のスマートフォンを通じて可視化されてしまっているのです。 以前であれば、店内でのクレームや、その場での指摘で終わっていたかもしれません。しかし今は違います。一つの違和感が写真や動画とともに投稿され、個店の出来事がブランド全体の評価へと直結する時代になりました。 ラーメン二郎を巡る“ルール論争”や、スターバックスの卒業投稿を巡る炎上などもそうです。本来はその場で完結するはずだった個別事案が、SNSによって「企業全体の姿勢」の問題へと変換されてしまう。いまや、顧客のスマ

三輪大輔
4月23日読了時間: 5分


トリドールが「DX注目企業2026」に選出された理由。「心的資本経営」を支えるDXと、その先にあるAX
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食DXの本質を教えてくれたトリドール 外食業界のDXの進め方については、トリドールホールディングスを見ておけば間違いない。実際、私自身も過去に何度か同社のDX推進の取り組みを取材させていただき、そのたびに多くの示唆を得てきた。特に、DXがまだ一般化していない段階で取材の機会をいただき、外食におけるDXの本質を学ばせてもらった。それが拙著『外食業DX』のベースにもなっている。 そのときにDXの本質を教えていただいたのが、同社のDXを牽引する存在である執行役員CIO/CTOの磯村康典氏だ。同氏は富士通を経てソフトバンクに入社し、小売業のECシステム開発などに従事。その後、ガルフネット執行役員へ就任。2012年にはOakキャピタルの執行役員として、事業投資先であるベーカリーやFMラジオ放送局などの代表取締役を務めながら、ハンズオンでの経営再建に携わってきた。 こうした実務と経営の両面を横断してきたキャリアが、現在のDX推進の礎となっていることは間違いない。また、『飲食店経営』6月号のDX特集でもお話を伺っており、DX

三輪大輔
4月10日読了時間: 7分


ゼンショー創業者、小川賢太郎氏は外食の何を変えたのか。5坪の弁当屋から1兆円企業へ、その軌跡
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト これまで外食ビッグ4やバーガー・ワン、 オリーブの丘 など、ゼンショーホールディングスについて繰り返し書いてきた。それは、この企業を起点に見ることで、現在の外食業界を理解しやすくなるからだ。それほどまでに、同社は産業そのものを体現する存在だといっていい。 生成Aiで作成 そうした前提に立てば、ゼンショーの創業者である小川賢太郎会長は、日本の外食産業に金字塔を打ち立てた稀代の経営者といえるだろう。その小川賢太郎会長が4月6日に逝去された。外食産業の歴史を振り返ると、そのリーダー像は約10年ごとに変化してきた。 例えば、1970年代は「Pioneers」の時代だ。外食という産業そのものが未成熟な中で、チェーンストア理論を持ち込み、骨格をつくった開拓者たちが現れた。「つぼ八」を創業した石井誠二氏や、日本マクドナルドを立ち上げた藤田田氏などが、その代表例である。 1980年代は「Builder」の時代だ。ロードサイド型の大型店舗を全国に広げるとともに、都市部でも外食文化が広がり、日常の中に定着していった。「カフェ.

三輪大輔
4月7日読了時間: 7分


「鰻の成瀬」の大量閉店は失敗か、再生への布石か。「しんぱち食堂」との比較で見えた外食フランチャイズの成功法則
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 外食経営を「短期的な成否」で断じてはならない理由 不祥事であれば話は別だが、私は、うまくいかなかった飲食店を安易に断じることはしたくない。そもそも経営は、短期で評価できるものではない。ある時点では失敗に見えたとしても、数年後に復活することは珍しくない。実際、外食の歴史は、その繰り返しで成り立っている。まさに、災禍は糾える縄のごとし。不幸が別のかたちで作用し、結果として成功へと転じることもある。だからこそ、今起きている現象を「良い・悪い」で切り分けるのではなく、その背景にある構造を捉えることが大切だ。 異例のスピードで駆け抜けた「2年300店舗」の軌跡 それを踏まえて、フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社が運営する「鰻の成瀬」の話をしたい。鰻の成瀬は、2022年の1号店出店以降、驚異的なスピードで店舗を拡大してきた。わずか2年で300店舗を達成し、外食業界でも異例の成長曲線を描いた存在である。 職人を必要としないオペレーション。居抜きで出店できる柔軟性。そして低い損益分岐点。こうしたビジネスモデル

三輪大輔
4月2日読了時間: 8分


日本上陸の『Too Good To Go』がフードロス削減を加速。「安売り」を「社会貢献」へ再定義する外食産業の革命
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 2026年4月、再び訪れた「値上げラッシュ」 2026年4月、食品の値上げは2798品目にのぼり、年内初の値上げラッシュが起きている。原材料費や人件費の上昇が続く中、外食や食品の価格は上がり続けており、消費者にとって「安く買える機会」はこれまで以上に大きな価値を持つ。 一方で、飲食店にとって値引きは簡単な手段ではない。単純な値下げは、ブランド価値の毀損や利益率の悪化につながるリスクを伴う。特に近年は、価格戦略そのものがブランドのポジショニングと強く結びついており、安易な値引きは長期的な競争力を損なう可能性すらある。そのため、多くの企業は値引きを「やりたくてもできない」状況に置かれてきた。 このジレンマに対して、今、新たな解が生まれつつある。それがフードロス削減を軸にした「条件付きの値引き」だ。「クリスピー・クリーム・ドーナツ」で導入が進む「Too Good To Go」や、「丸亀製麺」「エクセルシオールカフェ」などが活用する「TABETE」といったサービスを通じて、余剰商品や売れ残りがアプリ経由で販売される仕組

三輪大輔
3月31日読了時間: 5分


「安くて、旨くて、感じがいい」はもう限界。特定技能の停止が突きつける、外食「奇跡の時代」の終焉
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 外食業界に激震が走っている。 政府は2026年4月13日をもって、人手不足対策の柱であった「特定技能1号(外食業)」の受け入れを原則停止すると発表した。2028年度までの上限5万人に、想定を上回るスピードで達してしまったためである。 すでに採用を決め、現地で教育を終え、「あとは日本に来るだけ」と入国を待っていた企業にとっては、経営計画が根底から覆る事態だ。しかし、このニュースが突きつけている真の課題は、単なる人手不足ではない。日本の外食が守り続けてきた「高品質・低価格・好サービス」というビジネスモデルそのものの限界である。 1. 顧客の「期待」と産業の「現実」の致命的なズレ 今、日本の外食は、逃げ場のない「板挟み」にある。 まず、顧客側の感覚を整理してみよう。 ・モバイルオーダーは味気ない。丁寧な接客がいい。 ・海外展開ばかりするのは国内を軽視しているように見える。 ・外国人スタッフが増えることには、不安を感じる。 ・しかし、価格は1円たりとも上げてほしくない。 一方で、企業側の現実はこうだ。 ・圧倒的に人が足

三輪大輔
3月29日読了時間: 3分


すかいらーくが110億円で買収したのは「焼き魚」ではない。都市攻略の高回転エンジン「しんぱち食堂」の実力
三輪大輔 |外食ビジネスアナリスト 110億円の買収劇が示す「外食の新機軸」 すかいらーくが110億円で「しんぱち食堂」を買収した。これは単なる低価格帯の補強ではない。都市部攻略と成長軸の再設計を見据えた戦略的な一手である。焼き魚という手間のかかるメニューをファストフード化した同業態は、効率性と回転率を両立したモデルだ。人口減少とコスト上昇が進む中、外食企業には立地・業態・運営を一体で見直す視点が求められている。今回の動きは、その具体例といえる。 郊外から都市部へ——すかいらーくが直面する「立地と効率」の課題 すかいらーくは「ガスト」「バーミヤン」「しゃぶ葉」といった中価格帯のテーブルサービス業態を基盤としてきた。業態開発力にも定評があり、「飲茶TERRACE 桃菜」や「イタリアン リゾート ペルティカ」など、新ブランドの創出でも存在感を示している。 一方で、低価格帯における明確な強みは限定的だった。そうした中、同社は人口動態の変化を踏まえ、郊外型から都市型へのシフトを進めている。高度商業集積エリアや私鉄沿線の駅前では、限られたスペースで高回転を

三輪大輔
3月25日読了時間: 3分
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